SK Onは1月8日、ソウル大学のカン・ギソク教授の研究チームと共同で、大粒径の高密度単結晶正極材を開発したと発表した。単結晶正極材の合成で課題となっていた点を解明し、新たな合成経路を示した。研究成果は学術誌「Nature Energy」に掲載された。
リチウムイオン電池の正極材として一般的な多結晶正極材は、複数の粒子が集まった構造を持つ。圧延工程や充放電の過程で粒子に亀裂が生じやすく、内部でのガス発生につながる可能性がある。
これに対し、単結晶正極材は各粒子が単一結晶で構成されるため、亀裂が生じにくく、安定性や寿命に優れる。ただ、合成工程では粒子を大きく均一に成長させながら、構造安定性も確保する必要があり、実用化に向けた課題となっていた。
特にニッケル含有量の高い正極材では、単結晶の形成に高温かつ長時間の熱処理が必要になる。この過程でカチオン無秩序が発生し、電池性能や寿命の低下を招く問題があった。
これに対し、SK Onとソウル大学の研究チームは新たな合成手法を考案した。まず、構造安定性が高く結晶成長しやすいナトリウム系単結晶を先に作製し、その後、イオン交換によってリチウムに置換する手法だ。高エネルギー密度化に有利な大粒径の単結晶に着目し、化学組成や温度、時間などの最適条件と構造形成メカニズムを分析した。
その結果、一般的な正極材粒子の約2倍に当たる10μm級の粒子で構成された、カチオン無秩序のない超高ニッケル単結晶正極材を開発した。超高ニッケルは、正極材中のニッケル含有量が94%を超える材料を指す。高いエネルギー密度を確保できるため、電気自動車の航続距離延伸にもつながるとしている。
SK Onによると、この単結晶正極材は高い機械的・化学的安定性と高エネルギー密度を示した。試験では、カチオン無秩序がないことで構造変形が抑えられ、ガス発生量は多結晶正極材に比べて25分の1に低減した。エネルギー密度は理論結晶密度の最大77%に達したという。理論結晶密度は、欠陥や不純物がない完全結晶を仮定した場合の最大密度を指す。
SK Onのパク・ギス未来技術院長は「今回の研究成果は、電池材料分野におけるSK Onの技術競争力を示す成果だ。今後も学界との協力を通じて革新的な研究開発を継続し、技術リーダーシップを強化していく」とコメントした。