Naverは28日、新たなオープン型コミュニティサービス「Lounge」の提供を開始する。投稿、コメント、チャットを連携させてサービス内の回遊を促し、利用者の滞在時間を伸ばすとともに、AIエージェント「AgentN」の高度化に必要なリアルタイムデータの蓄積につなげる狙いがあるとみられる。
Loungeは、会員登録などの追加手続きなしにテーマごとに交流できるオープン型コミュニティとして展開する。エンターテインメント、スポーツ、ユーモア、日常といった掲示板ごとにオープントーク(チャット)が自動で連携し、利用者は投稿、コメント、チャットを行き来しながらリアルタイムでやり取りできる仕組みだ。
関係者によると、Naverは7日までにサービス開始に先立ち、公式サポーター500人を募集した。立ち上げ初期からコミュニティを活性化する狙いとみられる。
新サービス投入の背景には、既存コミュニティの成長鈍化と新興サービスの台頭がある。モバイルインデックスによると、競合する「Threads」の月間アクティブユーザー数(MAU)は昨年2月の184万人から同年11月には587万人へ拡大し、3倍超に増えた。
一方、Naverブログは昨年、記録件数が3億3000万件に達し、新たな「隣人」登録も1億4000万件に上るなど、蓄積データは依然として大きい。ただ、利用者数の面では伸び悩みが続いているという。
市場では、ブログやカフェといった既存サービスのストック型の特性だけでは、最新トレンドや話題への即応性を十分に取り込めないとの判断があったとみられている。
■検索・コミュニティ・AIの連携強化
NaverはLoungeを単独のコミュニティサービスではなく、既存サービスと結び付けるモデルと位置付ける。イ・イルグNaverコンテンツサービス部門長は「話題やトレンド、関心事について、ほかの利用者と気軽にやり取りしたいという需要を反映したオープンコミュニティだ」と説明。「検索、ホームフィード、オープントークなどNaverの他サービスとのシナジーを強化する」と述べた。
業界では、Loungeの投入について、プラットフォーム活性化とAI競争力の強化を同時に狙う一手と受け止められている。検索結果の閲覧にとどまらず、コミュニティに流入して会話までつなげることで、自然にサービス内の滞在時間を延ばす構図だ。
そこで蓄積される一次データは、AI競争力を左右する重要資源になり得る。Naverが今年上半期に公開を予定するAIエージェント「AgentN」が利用者の文脈を把握し、行動を予測するには、即時の反応や感情を含む非構造化データが欠かせないためだ。
Loungeの開始時期がAgentNの公開予定と重なる点については、リアルタイムの関心データをAI学習に素早く取り込む意図があるとの見方が出ている。高度化したAIは、検索品質の向上やショッピング、広告のレコメンドアルゴリズムの精度改善にも活用され、データの好循環につながる可能性がある。
■「第2のAgora」リスクも
一方、ポータル直営のコミュニティである以上、運営リスクへの対応は避けて通れない課題だ。過去にDaumの「Agora」が世論のゆがみを巡る論争の末に閉鎖されたように、オープン型コミュニティは特定勢力による世論操作や政治的偏向を巡る議論に巻き込まれやすい。
Naverは政治・時事カテゴリーを設けない方針だ。あわせて、「Cleanbot」などのAI技術を活用し、悪質コメントや不自然な利用行動をフィルタリングする考えも示している。
もっとも、エンターテインメントやスポーツの話題が社会的な対立に発展するケースも少なくない。技術的な対策だけで論争を完全に抑え込むのは難しいとの見方もある。
業界関係者は「NaverがAgoraのリスクを承知で再びコミュニティを立ち上げるのは、それだけAI学習に必要な一次データの重要性が高いことを示している」と指摘する。その上で「成功すれば、検索とコミュニティをAIで結び付ける強固な参入障壁になり得るが、失敗すれば運営負担だけが膨らむ可能性もある」と話した。