米個人投資家の関心を集める次の大型IPO候補として、OpenAIとSpaceXが比較対象になっている。いずれも将来性の高い企業とみられるが、市場では足元の収益基盤が明確なOpenAIを有力視する見方が強まっている。Cointelegraphが6日、報じた。
両社はともに次世代産業を象徴する存在だ。OpenAIは企業や個人向けにAIを展開し、SpaceXはロケット打ち上げと衛星通信を軸に宇宙インフラの構築を進める。ただ、市場の評価軸は将来像の大きさだけではなく、収益化の確度に移りつつある。
SpaceXはStarshipとStarlinkという大きな成長ストーリーを持つ一方、依然として巨額の資本を投じる段階にある。Starlinkには長期的に継続収益を生む事業へ育つとの期待があるものの、高コスト体質や規制対応、開発・運用スケジュールの遅れが懸念材料とされる。
これに対しOpenAIは、すでに収益モデルが見えやすい企業として受け止められている。ChatGPTのサブスクリプション収入、API販売、企業向けAIソリューションが売上に結び付いており、Microsoftの出資も事業の安定性を支えている。市場では「マスク氏は壮大な構想を語り、アルトマン氏は四半期ベースの実績を積み上げる」との見方が繰り返し聞かれるという。
ウォール街では今後数年で、OpenAI、SpaceX、Anthropicを軸に超大型IPOが相次ぐ可能性に注目が集まっている。OpenAIは昨年10月、企業価値を約5000億ドルとする評価を受け、市場では1兆ドル規模のIPOの可能性まで取り沙汰されている。政府契約や企業顧客、継続的な売上基盤を備える点は、ウォール街が好む成長企業の条件に合致するとの見方がある。
SpaceXは昨年末、8000億ドル評価で株式を売却した。イーロン・マスク氏は2026年半ばから後半にかけての上場に言及したことがあるが、市場ではそのスケジュール感を慎重にみる声も多い。「マスク氏の見通しは常に強気だが、実際の進捗が追い付かないことも少なくない」との受け止め方だ。
Anthropicも「安全なAI」を前面に打ち出し、昨年11月には3500億ドル規模の評価を受けた。ただ、話題性や市場の期待感という点では、OpenAIやSpaceXに比べて存在感はやや落ち着いているとの評価が出ている。
IPO市場の関係者は、こうした流れが長く非上場を維持する従来の流れを変えつつあるとみる。AI開発競争を勝ち抜くには大規模な資金調達が欠かせず、非上場のままでは大量のGPUや電力インフラの確保に限界があるためだ。JPモルガンは、世界的な不確実性が残るなかでも市場の流動性は潤沢で、条件が整えば大型案件への需要は十分あるとの見方を示した。
CNBCのジム・クレイマー氏ら市場関係者は、電力コストやインフラ負担が重くなるほど、AI企業間の格差は一段と広がる可能性があると指摘する。一部ではMetaを代替的な投資先として挙げる向きもあるが、公的資金や大型契約の獲得が進めば、OpenAIの市場での立ち位置は大きく変わり得るとの分析もある。
市場では投資家層の変化も指摘されている。Z世代の投資家にとっては、イーロン・マスク氏よりサム・アルトマン氏の方が身近な存在になりつつあるという。ロケット事業は日常から遠いが、ChatGPTは日々使うツールとして浸透しているためだ。
Cointelegraphは「勝敗はまだ決していないが、足元の市場シグナルは明確だ。市場はショーより収益、夢より事業構造を重視している」と指摘したうえで、現時点ではウォール街がサム・アルトマン氏側により強い期待を寄せていると評している。