Tetherは6日、金連動トークン「Tether Gold(XAUT)」を1000分の1単位で扱える新たな計算単位「Scudo」を導入すると発表した。金価格の上昇で小数点以下の桁数が増えがちな少額決済や価格表示をわかりやすくし、オンチェーンでの金取引の使い勝手を高める狙いがある。
Cointelegraphによると、ScudoはXAUTを1000分の1に細分化した単位。1Scudoは金1トロイオンスの1000分の1に相当し、約0.0311グラム分の価値を表す。
これにより、これまで分割取引で必要だった長い小数表示を避け、整数ベースで送金額や価格を示しやすくなる。高額になりやすい金を、オンチェーン上でより小口で扱いやすくする設計だ。
考え方は、Bitcoin(BTC)の最小単位として知られる「satoshi」に近い。satoshiが1BTCを1億分の1に分けた単位であるのと同様に、TetherはScudoによってデジタル環境で金をより直感的かつ実用的に扱えるようにしたい考えだ。
導入の背景には、金価格の上昇がある。Tetherは、価格上昇によってオンス単位での分数取引が使いにくくなっていると説明する。金価格が上がるほど少額決済や送金で必要な小数点表示が長くなり、ユーザー体験を損ねやすいためだ。
金は価値保存手段として評価される一方、現物の保管や分割の難しさから、小口投資家にとってはアクセスしにくい資産でもあった。XAUTは金のトークン化でこうした課題を一部解消してきたが、Scudoの導入で少額のオンチェーン取引はさらに使いやすくなるとみられる。
市場環境も追い風となっている。2025年は金が主要資産を大きく上回る動きを見せた年とされ、価格は前年比で約65%上昇し、過去最高値を更新した。同じ期間には銀も140%超上昇し、1オンス当たり80ドルに迫った。ドル安やインフレ懸念、地政学リスク、安全資産志向の高まりが金需要を押し上げたとみられている。
一方で、Bitcoinは同期間に下落し、金とは対照的な値動きとなった。特に10月10日の市場急落後は、第4四半期に入ってから金とBitcoinの値動きの差が一段と広がったという。インフレやマクロ経済の不透明感に備え、投資資金が伝統的な安全資産である金に向かった可能性を示している。
Tether Gold(XAUT)は現在、金トークン市場で最大規模の銘柄で、市場全体の時価総額の約半分を占める。各トークンは現物の金で1対1に裏付けられており、投資家はオンチェーンで金への直接的なエクスポージャーを持つことができる。
TetherはScudoの導入により、金担保トークンのアクセス性と実用性を高め、デジタル資産市場における金の活用領域を広げたい考えだ。金価格が高値圏で推移する局面でも、より小口で精緻な価値移転が可能になることで、XAUTの利用拡大につながるかが注目される。