Samsung Electronicsは1月6日(現地時間)、米ラスベガスのウィン・ホテルで「Samsung Tech Forum」を開き、AI時代のデザイン戦略を示した。登壇した最高デザイン責任者(CDO)のマウロ・ポルチーニ氏は、技術の差別化の鍵は人間中心設計にあると強調し、「AI×(EI+HI)」という考え方と「Expressive Design」の方針を打ち出した。
フォーラムのテーマは「技術の人間的側面」。パネル討論にはカリム・ラシッド氏、ファビオ・ノベンブレ氏らが参加し、デザイン専門ポッドキャスト「Design Matters」で知られるデビー・ミルマン氏が司会を務めた。
ポルチーニ氏は、「人間中心のアプローチは、未来に対する当然の責任だ」と述べたうえで、「それは倫理的要請にとどまらず、戦略面でも経済面でも不可欠な要素だ」と語った。
パネルでは、技術環境の急速な変化に加え、アクセシビリティの向上や技術格差の縮小が進むなか、今後の差別化の鍵は人間中心のデザインにあるとの認識で一致した。ミルマン氏は「この20年、テクノロジー分野のデザインはミニマリズムが主流だった」と指摘し、新たな方向性を議論する必要性を訴えた。
ポルチーニ氏は、Samsung Electronicsのデザイン目標について「技術を通じて人々の生活の質を高めることだ」と説明した。そのうえで、デザインと技術によって「より長く健康に生き、より良い暮らしを享受し、自分らしさを自由に表現し、自らの歩みを刻めるよう支援したい」と述べた。ファビオ・ノベンブレ氏も「私たちはデザインを通じて幸福を追求し、不可能を可能にする」と語った。
ポルチーニ氏はさらに、AIは感性知能と想像力を増幅する道具であるべきだと強調した。これを「AI×(EI+HI)」という考え方で示し、開発段階ではAIが感性知能と想像力によって強化され、製品の利用段階ではAIがそれらを拡張する役割を担うべきだと説明した。
そのうえで「技術は人を中心に設計されなければならない。そうして生まれた技術こそが、日常により意味のあるイノベーションをもたらす」と述べた。
また、Samsung Electronicsのデザイン全般に適用している「Expressive Design」にも言及した。これは、感情を伝え、自己表現を広げ、人と人とのつながりを促し、想像力を刺激する体験を生み出すための考え方だという。
カリム・ラシッド氏は「デザインは技術と人の間で、感情と体験をつなぐ役割を果たす」と述べ、「人々が技術を理解し、楽しみ、自分らしさの表現に活用できるようにするものだ」として、AI時代におけるデザインの意義に触れた。
ポルチーニ氏は、デザインを通じて技術と人の間に感情やアイデンティティが根付けば、より人間的な未来を築けると強調した。あわせて、Samsung Electronicsのデザイン全般では「Form and function follow meaning(形態と機能は意味に従う)」という原則を採用していると説明。ユーザーが接する多様な要素について、製品起点ではなく体験起点へと設計の重心を移していく考えを示した。