KTが不正な少額決済問題を受けて違約金免除に踏み切ったことで、韓国の通信市場でMNP(番号移動)が急増している。KTからの流出はすでに約8万人に迫っており、通信各社の販売・マーケティング競争も一段と熱を帯びてきた。
通信業界によると、KTが違約金免除を開始した2025年12月31日から2026年1月5日までの6日間(両日含む)で、KTから他社へ移った利用者は7万9055人に達した。電算処理を行わない日曜日(4日)分がまとめて反映されたこともあり、5日だけで2万6394人が他社へ移った。
流出規模はすでに8万人に迫っており、今後さらに拡大する可能性がある。業界では、料金割引が含まれないなど補償内容が期待を下回ったことが、離脱を加速させたとの見方が出ている。
KTは補償策として、6カ月間にわたる月間100GBのデータ無償提供、ローミングデータの50%追加付与、OTTサービスの6カ月利用権、主要会員特典の提供などを打ち出した。一方で、料金値引きのような直接的な金銭メリットは盛り込まれなかった。
業界関係者は「最大の特典とされるデータ無償提供も、無制限プランの利用者には実質的な恩恵が乏しい」としたうえで、「失望した利用者のMNP需要は当面続く」とみている。
今回の動きで最も恩恵を受けたのはSKTとみられる。5日までにKTからSKTへ移った利用者は5万1728人で、流出全体の65.4%を占めた。
SKTには別の追い風もある。USIMハッキングの影響で2025年4月19日から7月14日までに離脱した利用者が再加入した場合、加入年数と会員特典を元の状態に戻す施策を実施しているためだ。
市場では、乗り換え需要を狙った販促策も相次いでいる。SKTは月末まで、「ダイレクト5G 48」など一部料金プランで、MNPまたは新規加入した利用者を対象に初月料金を全額還元する。
LG Uplusも「Nugget 47」やデータ無制限の「Nugget 59」への加入者に対し、初月料金の全額還元に加えて、12カ月目まで料金を割り引く施策を打ち出した。これらの施策は、KTの違約金免除期限である13日まで実施する。
KTも対抗策を急ぐ。5日から「YOGO 69」「YOGO 61」「YOGO 55」の加入者に対し、利用期間中はVIP会員特典を提供する方針を示した。
さらに、データ無制限の「YOGO 69」に加入した利用者には、24カ月間にわたりポイントで61万ウォン相当のペイバックを支援するなど、解約防止策を強化している。
一部の販売店では、現金還元を上積みした端末販売も登場した。「車代」と呼ばれる手法で、通信各社が流通網に支給する奨励金の一部を、利用者に現金で戻す仕組みを指す。
通信代理店の関係者は「今から違約金免除期限の13日までが稼ぎ時になりそうだ」とし、「多少の持ち出しが出ても、できるだけ加入者を集めたい」と話した。
MNP需要の急増に伴い、電算障害も発生した。6日午前10時に開通手続きが始まって以降、KTからSKTやLG UplusへのMNP処理の過程で障害が相次いだ。前日に続き、2日連続で同様の障害が起きたという。
当局も過熱競争の抑制に乗り出した。韓国放送通信委員会は、MNPをあおる虚偽・誇大表現に対する点検を予告している。
SKTは流通網に対し、「Not-To-Do」とする禁止行為リストを通知した。他社の誹謗中傷や利用者の不安をあおる不適切な営業行為を全面的に禁じる内容だ。