ビットコイン(BTC)の機関投資家による採用が2025年に入り拡大する中、マイニングの環境負荷を巡る通説に対し、実データとのずれを指摘する声が出ている。ESG専門家のダニエル・バッテン氏は5日、ビットコイン採掘のエネルギー消費や環境影響を巡る主要な9つの批判に反論した。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、バッテン氏はX(旧Twitter)への投稿で、「新しい技術は、理解不足や恐れに基づく誤解を伴いやすい」と指摘し、ビットコインも同様の段階にあるとの見方を示した。
これに先立ち、Dow Jonesは昨年11月、ハーバード大学による基金のビットコイン投資を批判的に取り上げ、Bloombergもビットコインが世界の貧困層の電力を奪うとの論調で報じた。これに対しバッテン氏は、こうした見方は誇張や不適切な比較に基づくものだと反論している。
同氏は、査読論文4本を根拠に、ビットコインの取引量の増加がエネルギー使用量の増加にそのままつながるわけではないと説明した。また、マイニングが送配電網を不安定化させるとの批判についても、再生可能エネルギーの比率が高いテキサスのような地域では、需要調整を通じてむしろ電力網の安定化に寄与していると主張した。
電気料金の上昇を巡っては、「マイニングが電力価格を押し上げる明確な根拠はない」と指摘。一部地域では、余剰電力を吸収することで電力価格の低下につながった事例もあるとした。さらに、ビットコインのエネルギー使用量を国単位の消費電力と単純比較する手法は適切ではないとし、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が重視しているのは消費量そのものではなく、エネルギー源の転換だと述べた。
炭素排出を巡っては、ビットコイン採掘は直接排出を伴わず、排出は電力使用に伴う間接分に限られると説明した。イーサリアム(ETH)のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)が、ビットコインより本質的に環境に優しいとする見方についても、エネルギー使用量と環境面での効果を混同しているとして異論を示した。
そのうえで、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用するビットコインは、メタン排出の削減や電力網の安定化、再生可能エネルギー導入の拡大といった付随的な効果も見込めると強調した。
再生可能エネルギーをマイニングが奪っているとの批判に対しては、アフリカの「Gridless」プロジェクトを例示。ビットコインがなければ活用されなかった再生可能エネルギーが、マイニングによって採算に乗るようになったと説明した。研究によっては、ビットコイン採掘が太陽光や風力の設備稼働率を90%以上に押し上げる可能性があるとの結果も示されているという。
バッテン氏は、「ビットコイン採掘がエネルギーを浪費するという通念は、実データと整合していない」としたうえで、「むしろ再生可能エネルギーの無駄を減らし、エネルギーシステム全体の効率を高める役割を果たし得る」と主張した。