SK OnとSK Innovationは1月6日、Standard Energyとバナジウムイオン電池(VIB)を活用したエネルギー貯蔵装置(ESS)技術の共同開発に向けて業務提携したと発表した。1月5日に大田市のStandard Energy本社で締結式を開いた。SK Onは今回の提携を通じ、ESS向け電池の製品群を拡充する。
締結式には、SK Onのイ・ソクヒ社長、パク・ギス未来技術院長、SK Innovationのキム・ピルソク環境科学技術院長、Standard Energyのキム・ブギ代表が出席した。
SK OnはこれまでのNCM、リン酸鉄リチウム(LFP)に加え、VIBまでラインアップを広げる。3社は、4時間未満で充放電を行う短時間運転型ESS向けを中心に、VIBの性能向上で協力する。
こうしたESSはデータセンターや産業設備での利用が想定され、短時間での反復運転に耐えることが求められる。このため、安全性と高出力性能が重要な要件となる。
役割分担では、SK Onが電池の量産で培った知見を生かし、原材料調達から素材、セル、バッテリー管理システム(BMS)まで技術協力を担う。セルの大面積化設計などの開発にも取り組む。
SK Innovationは、電解液添加剤の開発を通じて材料性能の改善を図るほか、精油プロセスで回収したバナジウムを活用し、コスト低減につなげる。
VIBは、水を主成分とする電解液を使うのが特徴だ。火災や爆発のリスクを抑えやすく、高出力にも対応できることから、短時間運転型ESSに適するとしている。
Standard EnergyのVIB ESSは、産業通商資源部の規制サンドボックスを通じてソウル都心部に設置され、事故なく運用された。その後は地下鉄駅舎や建物内にも導入され、安全性の検証を受けた。
年初から進む第2次ESS中央契約市場の入札では、火災安全性が主要な評価基準に採用された。SK Onは、電気化学インピーダンス分光法(EIS)を適用して、火災発生の少なくとも30分前に異常兆候を検知できるESSを前面に出し、市場開拓を狙う。
EISは、さまざまな周波数の交流信号を加えてインピーダンスを測定し、電池内部の性能や状態を評価する非破壊分析技術である。
Standard Energyは、ESS向けVIBを世界で初めて開発したとしている。VIB ESSの実証と商用化にも成功しており、複数の顧客企業に納入実績がある。2025年の「世界最高のグリーンテック企業」(米Time誌選定)では、韓国企業で唯一選出されたという。
SK Onのイ・ソクヒ社長は「今回の協力を通じて、火災安全性に優れたESS向けバナジウムイオン電池を共同開発し、製品ポートフォリオを一段と強化できる」とコメントした。その上で「グローバル水準の技術競争力を基盤に、顧客に新たな価値を提供していく」と述べた。
Standard Energyのキム・ブギ代表は「リチウムイオン電池と相互補完的な特性を持つバナジウムイオン電池の事業化を、SK On、SK Innovationとともにさらに加速させる」と表明。「データセンターや屋内、都心部など、安全性と性能の両立が求められる環境でも安心して使えるESSの新たな基準を築きたい」と語った。