通信大手3社が、2026年の共通課題として「顧客信頼の回復」を前面に打ち出した。2025年に相次いだハッキングや不正決済、個人情報の流出で傷ついた信頼の立て直しを急ぐとともに、AIデータセンターや法人向けAIサービスなど新規事業の収益化も並行して進める構えだ。
◆相次ぐセキュリティ事故受け、各社が「信頼」前面に
2025年の通信業界では、SK TelecomのSIM(USIM)ハッキング、KTの無断小額決済事故、LG Uplusの個人情報流出など、セキュリティを巡る問題が相次いだ。各社は2026年、体制の立て直しと顧客信頼の回復を最優先課題に据える。
SK Telecomのチョン・ジェホンCEOは年頭あいさつで、変革の方向性として移動体通信(MNO)事業の競争力強化を掲げた。SIMハッキングで損なわれた信頼の回復と業績改善を同時に進める考えを示した形だ。チョンCEOは「基本を徹底し、強いMNOをつくろう」と述べた。
あわせて、AIとAXの加速も新年の目標として提示した。顧客信頼の回復を進める一方で、AI転換関連事業を本格的に拡大する方針だ。
2025年下半期に無断小額決済事故を経験したKTも、情報セキュリティリスクの解消に全力を挙げる。キム・ヨンソプ代表は「日常業務のあらゆる領域が侵害攻撃の対象になり得る」として、顧客信頼の回復に向けた全社的な対応を求めた。同時に、AX能力の強化を通じて、市場に認められたAX革新パートナーへの飛躍も打ち出した。
LG Uplusも、2026年の中核キーワードに「信頼」を据えた。ホン・ボムシク社長は新年の経営キーワードとして「TRUST」を掲げ、顧客信頼の回復が最優先課題だと強調した。TRUSTは、顧客との約束、問題を表に出す勇気、連帯、顧客の細分化、感謝と称賛を意味するという。
ホン社長は「信頼が積み上がれば、他社が容易に追随できない競争力となり、成果創出のスピードも一段と速くなる」と述べた。
◆利益改善見通しも、焦点はAIの収益化
エフエヌガイドによると、2025年業績の市場予想は、SK Telecomの売上高が7兆1590億ウォン、KTが28兆2694億ウォン、LG Uplusが15兆5271億ウォンとなっている。
セキュリティ事故が相次いだものの、利益面では改善を見込む声が多い。2025年の営業利益コンセンサスは、SK Telecomが1兆1419億ウォン、KTが2兆5477億ウォン、LG Uplusが9493億ウォン。3社合計では4兆6389億ウォンで、前年から32.7%増となる見通しだ。
2026年は、通信事業の強化と並行して、AIデータセンターや法人向けAIサービスなど、B2B中心のAIソリューション拡大に注力するとみられる。通信業界関係者は「通信の本業を固めつつ、今年はAIの収益化を本格化する」としたうえで、「個人向けAIは課金のハードルが高い一方、法人顧客は必要に応じて通信会社のAIインフラ導入を拡大する可能性が高い」と話した。
KTの違約金免除措置も、1〜3月期の主要変数として挙がっている。KTは無断小額決済事故を巡り、会社の過失が認められたことを受け、15日まで違約金の免除を実施している。2025年12月31日から2026年1月3日までの間に、約5万2661人がKTを離脱したことが分かった。
業界では、新規加入者の増加が限られるなか、顧客獲得競争がマーケティング費の増加と1〜3月期業績の変動要因になるとみている。別の業界関係者は「当面は通信各社の加入者獲得競争が避けられない」とし、「マーケティング費が業績の主要変数として作用する可能性がある」と述べた。