Kakaoは2026年、主力事業の収益回復を土台に、AIとブロックチェーンを軸とする新たな成長戦略を本格化する。グループ会社数はかつての147社から、2025年末時点で94社に減少。事業再編で収益基盤を立て直し、次の成長投資に備えた格好だ。
キム・シナ代表が年頭あいさつで掲げた「増幅」は、過去1年のスリム化で改善した収益性をてこに、売上規模と企業価値の拡大を目指す方針を示したものと受け止められている。2026年のKakao戦略は、大きく「収益」「技術」「海外」の3軸に整理できる。
◆トークビズ回復で投資余力を確保、本業の競争力を立て直し
成長投資の原資を支えるのは、主力サービスのKakaoTalkだ。2025年下期以降、KakaoTalkの広告事業「トークビズ」は回復基調を鮮明にしている。
市場では、過度なトラフィック施策を抑えつつ、ユーザーが重視する「友だちリスト」を維持し、独立した「ニュース」空間で広告効率を高める二層戦略が定着したとの見方が出ている。安定したユーザー体験を確保したことで離れていた広告主が戻り、売上成長につながる好循環が生まれたという評価だ。
大信証券のアナリスト、イ・ジウン氏は「アプリ改編の効果に加え、広告売上は会社計画を上回るペースで持ち直している」と指摘。その上で、2026年のトークビズ売上高は前年比26%増になると見通した。FnGuideも、2026年のKakaoの営業利益を8851億ウォンと予想しており、「1兆ウォン台」回復に向けた足場を固めるとみている。
業界では、KakaoがKakaoTalk本来の競争力回復を急ぐ背景に、AIと海外事業への投資原資を確保する狙いがあるとみる。データセンターの整備やグローバルプラットフォームの拡張には多額の資金が必要で、安定した収益源は欠かせない。トークビズが生むキャッシュフローが、外部資金への依存を抑えながらAI投資を進める中核になるとの見方が強い。
◆「カナナ」でグループ横断のAI連携、分散サービスをつなぐ
本業で生み出す収益は、新たな成長エンジン「カナナ」に振り向ける。タクシー、決済、ギフトなどに分散していたグループ各社のサービスを、2026年1~3月期に投入する「カナナ」を通じてつなぎ、連携を強める構想だ。
検索データを基盤とするNaverの「情報型AI」に対し、Kakaoは会話の文脈に沿ってサービスを横断的につなぐAIを志向する。グループチャットで会話しながらアプリを切り替えることなく、AIが文脈を読み取り、飲食店の予約から決済までを一括で処理するイメージだ。
イ・ジウン氏は「KakaoはAIエージェント導入のスピードで競合を上回っている」と分析。「AIエージェントを通じた自社サービスへの囲い込み効果も大きい」と述べた。
◆スーパーウォレットで海外展開加速、送金・決済の摩擦低減へ
国内で磨いた技術と資本は、海外市場、とりわけファンダム経済と結びつけて成長を狙う。Kakaoグループは2026年の重点成長分野として「グローバルファンダムOS」と、それを支える「スーパーウォレット」を掲げた。
カカオペイのシン・ウォングン代表は2025年12月23日のシンポジウムで、「法定通貨、暗号資産、地域通貨をすべて収容する『スーパーウォレット』によって、国境のない金融体験を提供する」と説明した。中核となるのは仲介を最小限に抑えた「ウォレット・トゥ・ウォレット」技術で、海外送金や企業間決済をリアルタイムで処理し、両替コストの大幅な削減を目指す。
Kakaoは単独ではなく、銀行、エンターテインメント企業、フィンテック企業などとコンソーシアムを組成し、ウォン建てステーブルコインのエコシステム構築も進める方針だ。これにより、世界のK-POPファンが両替の負担を抑えながらチケットやグッズを購入できる決済基盤の構築を目指す。
キム・シナ代表は年頭あいさつで、「AIを創造的な乗数とし、1+1が2を超える大胆な挑戦をしよう」と強調した。2025年が大規模な構造改革によって事業の足場を固めた年だったとすれば、2026年は資金力とAI・ブロックチェーン技術を成長につなげる局面に入ることになりそうだ。