L&FがTesla向けとして締結していた正極材供給契約の契約額を、3兆8347億ウォンから973万ウォンへ大幅に訂正し、市場に波紋が広がっている。訂正開示を受けて株価は急落し、自社株処分や役員による株式売却との時期の近さにも視線が集まっている。
韓国では、LG Energy Solutionも先に大型契約の解除を明らかにしており、電池業界の競争力や成長期待の後退を懸念する声が出ている。
L&Fは2025年12月29日、2023年2月にTeslaと締結したハイニッケル正極材の供給契約について、契約額を3兆8347億ウォンから973万ウォンへ修正したと公表した。契約は、2024年1月から2025年12月までの2年間、北米などでCybertruck向け4680電池に使う正極材を供給する内容だった。
同社は契約変更の理由について、世界の電気自動車(EV)市場や電池の供給環境が変化する中で、納期などの調整を進めた結果だと説明している。
この訂正開示を受け、L&F株は12月30日に9万5200ウォンまで下落した。同日の終値は前日比10.9%安の9万5200ウォン。年明けの1月2日には9万4300ウォンで取引され、5日時点では9万6300ウォンとなっている。
契約変更の公表に先立ち、L&Fは12月3日に自社株100万株を処分していた。
同社は当時、自社株処分の背景として「出荷量の過去最高更新」や「クオンタムジャンプに向けた準備」を打ち出していた。しかし、その26日後に主力契約の大幅縮小が明らかになったことで、開示と株式売却の時期の妥当性を疑問視する指摘が出ている。
会社側は、自社株処分の目的について、NCMA95製品の出荷急増に伴う原材料購入のための運転資金に加え、LFP需要への対応や設備高度化に向けた施設資金をあらかじめ確保するためだと説明していた。
さらに、2025年3Qの出荷量は四半期ベースで過去最高水準となり、ハイニッケル製品単独でも過去最高の出荷を記録したと強調。増加する物量に先行対応することで、定置用蓄電システム(ESS)とEV向け需要に積極対応する基盤を整えたとしていた。
一方で、こうした強気の見通しとは対照的に、Tesla向けの主力契約は事実上失効した格好だ。自社株処分の開示で触れていた「クオンタムジャンプに向けた準備」や、2026年からの「革新による卓越した成長計画」にも影響は避けられないとの見方が出ている。
L&Fが2025年9月に実施した3000億ウォンの新株引受権付社債(BW)発行では、10兆ウォン超の資金が集まり、競争率は約51.89倍と過去最高を記録した。投資家は、ハイニッケル分野での先行技術力やLFP事業への期待を背景に資金を投じたが、Tesla向け供給という中核契約の消失までは織り込んでいなかったとの指摘がある。
業界関係者は「自社株処分時に示した前向きな見通しと、その1カ月もたたないうちに公表された契約失効の間隔があまりに短い」と指摘する。「完成車メーカーと部品メーカーの間の数兆ウォン規模の供給契約が一夜で変わるとは考えにくく、かなり前から協議が進んでいた可能性が高い」と話している。