Appleの複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」が販売面で苦戦している。出荷の伸び悩みに加え、生産停止や広告縮小も伝えられるなか、同社の空間コンピューティング戦略は次世代スマートグラスへ軸足を移しつつあるとの見方が強まっている。
PhoneArenaは4日(現地時間)、英Financial Timesや市場調査会社IDCのデータを基に、AppleのVision Proの2024年出荷台数が約39万台だった一方、2025年第4四半期は4万5000台にとどまったと報じた。
四半期ベースで数千万台を出荷するiPhoneとは大きな差がある。昨年末にM5チップを含むハードウェア更新を実施した後も、販売不振が続いていることがうかがえる。
不振の影響は、生産やマーケティングにも及んでいる。Vision Proを受託生産していたLuxshareは、昨年初めから生産を停止したと伝えられた。
市場分析会社Sensor Towerによると、Appleは米国や英国など主要市場で、Vision Pro関連のデジタル広告を過去1年間で95%削減した。このため、利用者基盤の小ささを理由に、開発者がVision Pro向け専用アプリの開発に踏み切りにくい状況だという。
こうしたなか、AppleはVision Proに充てていた開発人員を、次世代スマートグラスへ振り向けているとされる。早ければ年内、もしくは来年初めにも、ディスプレイを搭載しないスマートグラスを投入する可能性が取り沙汰されている。
この製品は、内蔵カメラで周囲の状況を認識し、Siriを通じて標識の翻訳、音楽再生、通話、ナビゲーションなどの機能を提供するほか、写真や動画の撮影にも対応すると報じられた。
ディスプレイを搭載しない代わりに、表示機能はiPhoneとの連携で補完する方式とされる。軽量で、終日利用に耐えるバッテリー駆動時間が利点として挙げられている。
長期的には、実際にディスプレイを備えたARグラスがAppleの最終目標とみられている。BloombergのApple担当記者、マーク・ガーマン氏は、AppleのARグラスの投入には少なくとも3年以上かかるとの見通しを示した。
ARグラスは、Mシリーズの高性能チップを基盤に、現実空間の上にデジタル画像を重ねて表示する仕組みになる可能性があるという。競合製品が先行した後でも、完成度の高い製品で市場を切り開いてきた同社の過去の事例を踏まえ、ARグラスも長期的には「次世代iPhone」の有力候補として開発が進められているとの見方が出ている。