JobKoreaは創立30周年を機に、「AIネイティブ採用プラットフォーム」への転換を本格化する。まず1月中に求職者向けアプリとWebサイトを刷新し、AIエージェントの前面展開に加え、ATS連携や成果連動型商品の強化も進める。
同社によると、今回の見直しでは求職者と企業の双方が、サービス体験の変化を実感できる設計を目指した。求職者向けのUIやデザインだけでなく、カテゴリや情報構成も全面的に改める。
イ・チャンジュンCSO(戦略推進本部長)は最近のインタビューで、「求人掲示板の延長ではない体験を提供するため、インターフェースやデザイン、カテゴリ、構成を全面的に見直した」と説明した。既存ユーザーでも大きな変化を感じる水準になるとの見方を示した。
アプリとWebサイトの刷新とあわせ、求職者向けAIエージェント「タレントエージェント」も前面に打ち出す。ヘッドハンターと対話するような感覚で使えるキャリア支援サービスとして位置付ける。
イCSOは、検証段階での手応えについて「シニアのヘッドハンターに匹敵するとは言えないかもしれないが、ジュニアクラス以上の役割は果たせる」と述べ、自信を示した。
同氏は一連の改革について、AIを含む技術はあくまで手段であり、中核にあるのは採用プラットフォームとしての本質的な価値の強化だと強調する。その本質とは、求職者と企業を結び付け、最終的に採用件数を増やすことだという。
「求職者は、誰もが知る企業だけでなく、まだ広く知られていない優良企業を探してJobKoreaを訪れる。企業側は自社を知ってもらい、求める能力を備えた人材に出会いたい。両者をつなぐことがJobKoreaの役割であり、それは今後も変わらない」と語った。
もっとも、採用市場の環境は大きく変わった。定期採用中心から通年・随時採用へと重心が移り、必要なタイミングで1人ずつ採用するケースも増えている。企業における勤続期間も短くなる傾向にあるという。
こうした変化に対し、JobKoreaの既存サービスには、定期採用が主流だった時代の設計思想が残っていた。現在の採用環境に合わせて体質を見直し、採用の量と質の双方を高めることが、大規模刷新の背景にあるとしている。
イCSOは、定期採用が中心だった時代には求職者の関心が一部企業に集中し、企業側も求人情報を目立たせることに力を注いでいたと指摘する。これに対し現在は、求職者と企業の双方にとって関心の高い相手を適切に推薦することの重要性が高まっているという。
同氏は「企業ごとに異なる価値があり、それに合う人材がいる。そこを見つけ出すには、パーソナライズの力が重要だ。HR領域におけるパーソナライズ体験の戦略的価値は、Eコマース以上に大きい」と述べた。
同社は、求職者と企業をより深く理解し、最も効率よくつなぐことを変革のキーワードに据える。企業は履歴書だけでなく、求職者が何に関心を持ち、どのようなキャリアを志向しているのかも知りたがっているためだ。
イCSOは「タレントエージェントのようなサービスを通じて求職者がJobKoreaと対話するようになれば、ユーザーが本当に必要としているものを、これまで以上に把握できる」と話す。
一方で、求職者や企業を「理解すること」と、両者を「つなぐこと」は別の課題だとも説明した。つなぐ段階では、ユーザー像をデータに基づいて描いたうえで、どのように見せればクリックや応募につながるかを最適化することが重要になるという。
こうした考え方は、企業向け商品の見直しにも反映している。単純な露出型広告への投資ではなく、成果に応じて費用を支払う仕組みへと商品設計を改めた。
昨年公開した「SmartFit」は、採用成果に連動して広告費を設定する成果連動型モデルだ。広告表示回数ではなく、実際の応募流入を基準に費用を算定する。クリック課金型の仕組みを採用しており、企業は求人の掲載や停止を柔軟に行える。
イCSOは「SmartFitによって、HR業界でも従来の定期採用向けの露出重視型から、成果重視型へ進化し始めている」と語った。
採用管理システム(ATS)との連携強化も、今回の改革の柱の一つだ。JobKorea傘下のATS「Ninehire」とJobKoreaのプラットフォーム、さらにAIエージェントをつなぐことで、新たな採用体験を提供する構想を掲げる。
今後は、企業がJobKoreaに直接求人を登録するのではなく、まずNinehireに掲載し、それをJobKoreaと連携させる形が広がる可能性があるという。この流れの中で、ATSの存在感はこれまで以上に高まるとみている。
イCSOは「重要なのは採用サイトに求人を載せることそのものではなく、どの採用ツールを使って採用を進めるかだ。そうした構図の中でNinehireは、単なるSaaSにとどまらず、採用を支援するAIエージェントとしての役割を強めていく」と述べた。
JobKoreaは昨年末、Braincommerceが運営するキャリアプラットフォーム「JobPlanet」のプラットフォームおよび関連事業を買収した。これについても、求職者と企業をより深く理解し、精度高くつなぐ力を高める施策の一環と位置付ける。
イCSOは「JobPlanetを見た後にJobKoreaへ来る求職者は多い。AIエージェントを高度化するうえでも、どの企業がその人に合うのかを、より立体的に説明するにはJobPlanetが必要だった」と説明した。「JobPlanetには多様な観点の投稿があり、外部では否定的な内容ばかりが注目されがちだが、実際にはそれだけではない」とも述べた。
今後は、JobPlanetのソーシャルサービスとしての性格を強める方向で高度化を進める考えだ。イCSOは「単なる企業レビューだけでは臨場感が乏しい。関心のある企業で働く人と直接話せる場が必要だ」と話した。
採用件数の拡大に向けては、外部サービスとの協業も強化する。BlindやTossとの連携も、その文脈にあるという。
イCSOは一連の変革について、単発の施策ではなく継続的な取り組みだと位置付ける。すでに一定の成果は出ているものの、なお課題は多いとする。
同氏は「改善すべき点は残っているが、変化のスピードを上げるための意味ある土台は整った」と述べた。そのうえで、「情報を集めて推薦して終わるのではなく、なぜこの企業を薦めるのか、そこでどのようなキャリアを築けるのかまで、ユーザーに納得してもらうことがJobKoreaの目標だ」と語った。
さらに「変化は始めるまでが難しいが、成果が出始めれば次の展開は早い。今後は変革にさらに弾みがつく」と強調した。