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コーディングAIと推論向けAIチップを巡り、有力各社の競争が一段と激しくなっている。Anthropicの「Claude Code」はARR(年換算売上高)が25億ドル(約3750億円)規模に達した。OpenAIやxAIもコーディング分野の強化を急いでおり、半導体領域ではNVIDIA、Amazon Web Services(AWS)、Metaが相次いで新製品や提携策を打ち出している。

コーディングAIでは、Anthropicが先行する構図が鮮明になってきた。「Claude Code」はARRベースで25億ドル規模に到達したという。OpenAIもコーディング支援を重視する姿勢を強めている。

イーロン・マスク氏率いるxAIも、コーディング分野のてこ入れを進めている。コーディング製品の成果が振るわなかったことを受け、共同創業者の一部を追加で離脱させたほか、SpaceXやTeslaの出身者を投入し、組織の立て直しを進めている。さらに、AIコーディングアプリ「Cursor」からアンドリュー・ミリチ氏とジェイソン・ギンズバーグ氏を迎え入れ、「Grok Code Fast」の改善に充てた。

スタートアップ各社も資金調達を通じて事業拡大を急ぐ。Cursorは企業価値を500億ドル(約7兆5000億円)とする追加資金調達について投資家と協議しているという。コーディングプラットフォームのReplitは、4億ドル(約600億円)規模のシリーズDラウンドを実施し、企業価値は90億ドル(約1兆3500億円)に達した。AIコーディングスタートアップのLovableは、2月の月間売上高が1億ドル(約150億円)となり、ARRは10億ドル(約1500億円)を超えた。

一方、推論向けAIチップでもビッグテック各社の動きが活発だ。NVIDIAは16日(現地時間)開幕の開発者会議「GTC」で新型チップを発表する見通し。AWSはAI半導体スタートアップのCerebrasと複数年契約を結び、同社の推論チップをデータセンターに導入すると発表した。MetaはAIワークロード向けに自社開発した4種類のカスタムチップを公開した。AI推論インフラを手掛けるFireworks AIは、リアルタイムコンピューティングとサーバーオーケストレーションのプラットフォームを提供するHathoraを買収した。

このほか、AIを巡っては主要企業による新製品投入や提携、買収が相次いでいる。

NVIDIAはPalantir TechnologiesとソブリンAI分野で提携した。協業を通じ、PalantirはNVIDIAのエンタープライズ向けリファレンスアーキテクチャを基盤とする「AIOS-RA(AI OS Reference Architecture)」を投入する。NVIDIAはまた、大規模なエージェント型AIシステム向けに「Nemotron Super 3」も発表した。パラメータ数は1億2000万で、Mixture of Experts構成を採用。従来モデルと比べてスループットは5倍、精度は2倍になったとしている。企業向けオープンソースのAIエージェント基盤「NemoClaw」の提供準備も進めている。

Googleは、Gmail、Chat、Driveのデータを活用し、文書やスプレッドシート、スライドを自動生成するGeminiの新機能を公開した。Zoomは、AIアバターや文書、プレゼンテーション、スプレッドシート向けアプリに加え、非技術者向けのAIエージェントビルダーや会議向け音声翻訳機能を投入する。AdobeはPhotoshopのAIアシスタントをWeb版とモバイル版のベータとして提供し、FireflyにもAIベースの画像編集機能を追加するとした。

Microsoftは、Office 365ソフトウェアとCopilotのAIチャットボットを初めて組み合わせた法人向け新サブスクリプション「Microsoft 365 E7」を5月に発売する。価格は1ユーザー当たり月額99ドル(約1万4850円)。Salesforceは、音声とデジタルチャネル、顧客関係管理(CRM)データ、AIエージェントを単一基盤で連携させる次世代コンタクトセンター(CCaaS)「Agentforce Contact Center」を公開した。

Metaは、次世代AIモデル「Avocado」の提供時期を当初予定していた今月から5月以降に延期した。社内の性能テストで、Google、OpenAI、Anthropicなど競合各社の主力モデルに後れを取ったためと伝えられている。

企業向けソフトウェア支援やイノベーションソリューションを手掛けるRimini Streetは、既存ERPを使い続けたままでもエージェント型AIを活用できるようにする取り組みを加速している。MicrosoftはAIベースの医療アシスタント「Copilot Health」を公開する。同社によると、50カ国の医療機関データに基づいて信頼性の高い回答を提供し、利用者が医療情報を入力することで、より精緻な分析が可能になるという。Databricksは、データエンジニアリングと分析の自動化を支援するAIエージェント「Genie Code」を発表した。

消費者向けサービスでも新展開が続く。BumbleはAIベースのデーティングアシスタント「Bee」を公開した。利用者の価値観や関係性に対する目標、コミュニケーションスタイルなどを学習し、マッチングを提案する。Genspark.aiは、クラウドベースのAI秘書「Klo」の提供を開始した。利用者ごとの専用クラウド環境で動作し、セキュリティとデータ分離を維持しながら業務を自動化するとしている。

M&Aも活発化している。NetflixはAI企業InterPositiveを最大6億ドル(約900億円)で買収した。InterPositiveの技術は、映像制作者が編集時の不整合を解消したり、シーンを改善したりする作業を支援するという。ZendeskはAIベースのカスタマーサービス企業Forethoughtを買収する。Forethoughtは2018年のTechCrunch Battlefield優勝企業で、Upwork、Grammarly、Airtable、Datadogなどを顧客に持つ。サプライチェーン管理ソリューション企業のZionexは、AIモデル開発と分析に強みを持つBRFrameを買収し、子会社化した。自律型SCMプラットフォームの実現に必要なAI中核技術の内製化が狙いという。MetaはAIエージェントのソーシャルネットワークMaltbookを買収した。

アジア企業でもAI関連の提携や投資が進む。LG CNSは、米AIソフトウェア企業Palantir Technologiesと協力し、国内のAX事業を加速する。また、産業現場向けに最適化したヒューマノイドロボットのハードウェア競争力強化の一環として、米ロボット企業Dexmateへの戦略投資も実施した。Naver CloudはAIソフトウェア企業Konan Technologyと、防衛・製造向け大規模言語モデル(LLM)とフィジカルAI分野での協力に向けて業務提携(MOU)を締結した。

政府もフィジカルAIの産業支援を本格化する。韓国の国会議員会館で開かれた「フィジカルAIフロンティア強国 新技術朝餐フォーラム」で、副首相は「製造強国としての力を発揮するためにも、フィジカルAIは着実に準備する必要がある」と述べた。その上で、「ワールドモデル、フィジカルAI基盤モデル、工場スマート化設計など、フルスタックの観点で能力を備える必要がある。国家R&Dから現場適用まで政府として最大限支援する」と語った。

シリコンバレーの有力VCであるAndreessen Horowitz(a16z)は、一般消費者向け生成AIサービスの動向をまとめた「The Top 100 Gen AI Consumer Apps」シリーズを公開した。a16zは、AIアシスタントが単なるチャットUIを超えて実運用環境に広がるなら、競争の構図は1社が市場の大半を押さえた検索戦争よりも、異なる思想を持つ2つのプラットフォームがそれぞれ巨大な生態系を築いたモバイルOS競争に近づくとの見方を示した。

AI導入による生産性向上を理由に、人員削減を進めるテック企業の動きも広がっている。Oracleも今後数カ月にわたって人員削減を進める準備をしているという。これに先立ち、BlockやAtlassianもAIを理由とする大規模な人員削減を発表していた。

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