米Andreessen Horowitz(a16z)は、一般ユーザーに利用されている生成AIサービスをまとめたリポート「The Top 100 Gen AI Consumer Apps」を公表した。ChatGPTが引き続き首位を維持した一方、GeminiやClaudeも利用を伸ばしており、a16zは競争の構図が検索市場よりもモバイルOS競争に近づいていると分析した。
ランキングは、WebはSimilarwebの月間訪問数、モバイルはSensor Towerの月間アクティブユーザー数(MAU)を基に、それぞれ上位50サービスを選定した。指標はいずれも1月時点のデータを用いた。
今回はAIネイティブ企業に限らず、CapCut、Canva、Notion、Picsart、Freepik、Grammarlyなど、生成AI機能を取り込んだ既存サービスも調査対象に加えた。a16zは、より客観的に市場全体を把握するためとしている。
モバイルMAUが7億3600万人に達した動画編集アプリCapCutは、背景除去、AIエフェクト、自動字幕、テキストからの動画生成といった機能で利用を広げている。CanvaもAIツール群「Magic Suite」を軸に成長を続けている。
Notionでは、有料のAI追加機能の利用率がこの1年で20%から50%超に上昇した。a16zによると、現在はAI機能が年間経常収益(ARR)の約半分を占めているという。
今回のランキングで目立つのは、ChatGPTの優位が続く一方で、競争が一段と激しくなっている点だ。WebトラフィックではChatGPTが2位のGeminiの2.7倍、モバイルMAUでもGeminiの約2倍の規模となった。
ChatGPTのユーザー規模はこの1年で5億人から9億人規模へ拡大した。ただ、GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeでも、有料購読者数の伸びが加速している。週次のChatGPT Webユーザーの約20%が同じ週にGeminiも利用しており、複数サービスを併用する動きも広がっている。
Googleはクリエイティブ機能の強化で利用者層を広げた。Nano Bananaは公開初週に2億枚の画像を生成し、Geminiに新規ユーザー1000万人を呼び込んだ。Veo 3もAI動画分野の転換点として評価された。Anthropicは「Cowork」やChrome向けの「Claude」、Excel・PowerPoint向けプラグイン、とりわけ「Claude Code」を通じてプロシューマー市場の開拓を進めた。
汎用AIチャットボットの競争はアプリストアにも広がっている。OpenAIとAnthropicはいずれも、チャットボット上でユーザーがワークフローを組めるコネクターのエコシステムを打ち出したが、優先順位は異なるという。
ChatGPTは旅行、ショッピング、飲食、ヘルスケア・ウェルネス、ライフスタイル、エンターテインメントなど85本超のアプリ群を展開している。一方、Claudeは一般向け領域での広がりが限定的で、専門家向けサービスに軸足を置いている。
a16zは、AIアシスタントが単なるチャット画面を超えて「実行環境」へ進化すれば、今後の競争は1社が市場の9割を握った検索戦争よりも、異なる思想を持つ複数のプラットフォームが巨大な生態系を築いたモバイルOS戦争に近い姿になると見ている。
データからは、生成AIアプリの利用が地域によって大きく異なる実態も浮かんだ。a16zは、生成AIアプリ市場が地理的に大きく三つの生態系へ分かれつつあると分析している。
ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityといった欧米圏のAIツールは、米国、インド、ブラジル、英国、インドネシアを主要市場とする一方、中国やロシアでの存在感は小さい。これに対し、ByteDanceのDoubaoやMoonshot AIのKimiは中国にユーザーが集中している。DeepSeekは、複数地域で比較的バランスよく利用者を確保している唯一のサービスとして挙げられた。
DeepSeekのWebトラフィックは中国が33.5%、ロシアが7.1%、米国が6.6%を占め、モバイルでも同様の傾向がみられた。
上位100の生成AIコンシューマーアプリでは、クリエイティブツールの強さが引き続き確認された一方、その中身は3年前と比べて大きく変わった。2023年9月時点では、Webランキングに入った9本のクリエイティブツールのうち7本をMidjourney、DALL-E、Stable Diffusionなどの画像生成AIが占めていた。今年はクリエイティブツールが7本入ったものの、画像生成AIは3本にとどまり、残りは動画、音楽、音声関連のサービスが占めた。
動画生成AIでも変化が目立つ。a16zによると、Kling AI、Hailuo、Pixverseが成長を示しており、中国系モデルが出力品質で引き続き先行しているという。
バイブコーディングへの関心も続いている。上位100の生成AIコンシューマーアプリには、ReplitやLovableに加え、Claude Codeも入った。一方、最近注目を集めたオープンソースのAIエージェントツールOpenClawは、一般ユーザー向け製品ではないとして対象外となった。
デスクトップ専用AIツールも新たな注目領域として浮上した。特に開発者向けで成長が目立つ。開発者向けコマンドラインエージェントのClaude Codeは、リリースから6カ月で年商10億ドル(約1500億円)規模に拡大した。OpenAIもMac向けCodexアプリを投入しており、CursorもWebサービス上位50に引き続き入った。