スペイン・バルセロナで開かれた「MWC26」で、韓国科学技術情報通信部は長官不在の中でも現地対応を進めた。局長級幹部を中心にAIや国際通信政策協力に取り組んだほか、国内企業間の連携支援にも動いた。一方で、政策メッセージの発信力という点では、閣僚級の現地対応が今後の課題として残った。
会場では、同部の事務官が「韓服で来ればよかった。そうすれば科学技術情報通信部も韓国も、もっとアピールできたはずだ」と語った。初めての海外出張だというこの事務官は、今回は特に力を入れて臨みたいと話していた。
首から下げたMWCの入場証には「KOREA」の文字が大きく記されていた。韓国企業が集まる韓国館で、「KOREA」と書かれたストラップを用意したという。
今回は新政権発足後初のMWCだったが、ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は参加しなかった。長官の出席の有無は、開催直前まで注目を集めていた。
通信業界がAI転換を加速させる中、AIの専門家でもあるペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官が現地入りし、グローバル動向を直接確認した上で政策に反映させるべきだとの期待があった。副首相自身も参加の意向を示していたとされる。
ただ、ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官はイ・ジェミョン大統領のシンガポール、フィリピン訪問に同行し、日程が合わなかった。CES 2026でも大統領の中国訪問に同行したため出席できなかった経緯がある。
これを受け、韓国科学技術情報通信部は局長級幹部をバルセロナに派遣した。リュ・ジェミョン第2次官がすでにCESに派遣されていたため、今回はチェ・ウヒョク情報保護ネットワーク政策室長が団長を務めた。
トップ不在の中でも、現地では実務陣が対応を進めた。チェ・ウヒョク情報保護ネットワーク政策室長を中心に、チーム長や事務官、主務官らが連携し、国際通信政策協力やAI関連の議論にあたった。
チェ・ウヒョク情報保護ネットワーク政策室長は「AI Network Alliance(AINA)」の発足式に出席し、NVIDIA、Microsoft、Qualcomm、Vodafoneなどのグローバル企業関係者と意見を交わした。
また、Samsung Electronicsをはじめとする韓国勢とNVIDIA副社長らとともに、AIネットワークの進化動向や今後の産業協力策について協議した。
韓国科学技術情報通信部は、国内企業の橋渡し役も担った。国内NPU企業のMobillintは、メモリとNPU基板の調達に苦戦していたという。
同部はMWCの会場でこうした状況を把握し、SK hynixに共有した。これを通じ、部品調達の円滑化に向けた協力を引き出したとしている。
もっとも、課題も残った。国家間の技術競争では、誰が現場に立つかが政策発信の重みを左右する。モバイル・通信産業の将来を議論するMWCは、産業色の強いCESとは異なり、AIと情報通信政策を所管する韓国科学技術情報通信部にとって、とりわけ重要な舞台といえる。
会場には各国の閣僚や規制当局関係者、グローバル企業の経営陣が集まり、産業と政策の方向性を議論した。今回、バルセロナで現場を走り回った実務陣の対応には確かな意味があった。
その一方で、国家技術競争の象徴性や政策メッセージを示す場にトップがいるかどうかは、なお重要だ。来年のMWCでは、長官の現地対応が焦点の一つになりそうだ。