韓国国会は12日の本会議で、韓米間の3500億ドル規模の戦略的投資に関する了解覚書(MOU)の履行に向けた「大韓民国と米合衆国間の戦略的投資の運営および管理のための特別法」(以下、韓米戦略的投資特別法)を与野党合意で可決した。政府全額出資の公社と基金を新設し、投資配分や意思決定手続き、年間投資上限などを制度化する。
韓米両国が昨年11月14日に同MOUに署名してから約4カ月、特別法の発議から106日での可決となった。
法整備を急いだ背景には、米国による通商圧力がある。1月にはトランプ大統領が特別法の未成立を理由に関税の再引き上げ方針を示唆し、法案審議が加速した。同日には米通商代表部(USTR)が、韓国を含む16の貿易相手国を対象に、通商法301条に基づく過剰生産に関する調査を開始している。
特別法は、MOU履行の実施体制と財源調達の枠組みを定めた。総額3500億ドルのうち、2000億ドルは造船、半導体、医薬品、重要鉱物、エネルギー、AIなどの戦略産業に充てる。残る1500億ドルは、造船分野の民間投資や船舶金融など、造船協力投資に振り向ける。
対米投資は年200億ドルを上限とし、商業性の確保を原則とすることも明記した。
実施主体として新設するのが「韓米戦略投資公社」だ。政府が全額出資し、資本金は2兆ウォン。公社は20年以内の時限組織とし、その後は解散する。公社傘下には「韓米戦略投資基金」を設ける。基金の財源は、公社の拠出金に加え、韓国銀行と外国為替平衡基金から委託される外貨資産、海外での政府保証債の発行などで賄う。
意思決定は二段階の体制を採る。産業通商部に置く事業管理委員会が候補案件の商業性を審査し、副首相兼企画財政部長官が委員長を務める運営委員会が最終的に審議・議決する。商業性を確保しにくい案件でも、国家安全保障やサプライチェーン安定化などのやむを得ない事情がある場合は、国会の所管常任委員会の事前同意を条件に推進できる例外規定も盛り込んだ。
政府は、特別法の公布と同時に設立委員会を立ち上げ、施行日である公布3カ月後までに公社と基金の設置、関連する下位法令の整備を終える計画だ。利害関係者からの書面意見は4月15日まで受け付け、公聴会は5月5日に開始する。
また産業通商部は、301条調査の開始に合わせ、中小・中堅企業向けの輸入規制対応支援を拡充すると発表した。支援上限を従来の3000万ウォンから6000万ウォンに引き上げ、自己負担も全額免除する。改編後の事業は13日から申請を受け付ける。
ク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官は「グローバルなサプライチェーン、関税、通商環境を巡る対外不確実性が高まる中、今回の特別法成立は企業の不確実性を一定程度和らげることに寄与するだろう」と述べた。