ビットコインが40%超下落し、暗号資産市場の弱気相場が続く中、市場では2026年の反転シナリオを左右する材料として、米国の規制整備、ビットコイン現物ETFの資金動向、AIとブロックチェーンを組み合わせた新たな技術テーマの3点に関心が集まっている。
2025年初め以降、米国では暗号資産に前向きな規制整備が進んできた。GENIUS法案はステーブルコイン規制の道筋を示し、米証券取引委員会(SEC)も従来の強硬な規制執行路線を後退させた。一方で、CLARITY法案を巡っては、銀行業界がステーブルコインの利回りに反発しており、成立は遅れている。
もっとも、CLARITY法案が可決されれば、デジタル資産規制を担う当局の役割分担が明確になり、銀行や資産運用会社、決済会社の参入拡大につながる可能性が高い。慎重姿勢とマクロリスクに左右される足元の市場環境では、同法案の成立が強い安心材料になるとの見方がある。
市場形成を左右する要素としては、機関投資家の需要も大きい。2024年から2025年にかけては、ビットコイン現物ETFに大規模な資金流入が入り、市場の供給を吸収した。だが直近の下落局面では、ETFからの資金流出が売り圧力を強めた。この流れが反転すれば、長期投資家が暗号資産価格を再び魅力的な参入水準とみなし始めたシグナルになり得る。
機関投資家マネーは動きが緩やかな半面、いったん戻れば相場の勢いを大きく変える可能性がある。Standard Charteredのジェフ・ケンドリック氏は、「ビットコイン価格が5万ドル(約750万円)または6万ドル(約900万円)であれば、中期投資先として非常に魅力的に映るだろう」と述べた。
もう一つの材料として注目されているのが、デジタル金融の自動化を巡る新たな技術テーマだ。エージェンティック・ファイナンスは、AIベースのエージェントが金融取引を自動で執行し、資産を管理しながらブロックチェーンネットワークと連携するという概念を指す。まだ初期段階にあるものの、主要な決済企業や技術企業の間では、ブロックチェーン基盤の自動金融システムに関する議論が進んでいるという。
今回の下落局面が過去の「暗号資産の冬」と大きく異なるのは、大規模な業界崩壊が起きていない点だ。2022年には主要企業の破綻が弱気相場を象徴したが、足元の市場はそれに比べて安定している。インフラ整備は進み、機関投資家の関与も深まり、価格変動も過去のサイクルほど大きくない。ボラティリティの低下は、市場を「混乱が少なく投資しやすい」と捉える投資家の増加につながる可能性がある。