写真=3月12日、城南市の板橋R&Dセンターで開いた経営戦略懇談会で説明するパク・ビョンムNCSoft共同代表

NCSoftは3月12日、MMORPG中心の事業構造を見直し、既存IPの安定収益を軸に新規IPとモバイルカジュアルを育成する成長戦略を発表した。2030年までに売上5兆ウォン、ROE15%以上の達成を目指す。

同社は同日、板橋R&Dセンターで「2026経営戦略懇談会」を開催し、事業ポートフォリオの再編方針を示した。

パク・ビョンム共同代表は、就任当時の構造的課題として、MMORPGへの偏重により特定タイトルの成否が業績や株価を大きく左右していた点を挙げた。売上の約70%が韓国、台湾、日本の3地域に集中し、主要顧客層も高齢化した「Lineage」ユーザーに偏っていたという。加えて、開発の自律性が過度に大きく、発売遅延によって市場トレンドを逃すケースも繰り返されていたと説明した。

その上で、パク共同代表は「この2年間は将来の成長に向けた基盤整備の時期だった」と述べ、2026年から本格的な成長局面に移行する考えを示した。

成長戦略は、既存IPの強化、新規IPの拡大、モバイルカジュアル事業の育成という3本柱で進める。

第1の柱は既存IPの高度化だ。「Lineage」「AION」「Guild Wars 2」「Blade & Soul」など主力IPの運営体制を見直し、サービス地域も拡大する。スピンオフ作品も継続投入し、この領域で今後も年間1兆5000億ウォン前後の安定的なキャッシュフローを維持するとした。

第2の柱は新規IPの拡大で、2029年までに自社開発タイトルを10本以上、パブリッシングタイトルを6本以上そろえる計画だ。ジャンルもシューティング、サブカルチャー、アクションRPGへと広げる。すでに公開済みの「Time Takers」は14日にクローズドβテスト(CBT)を開始し、「Limit Zero Breakers」「Cinder City」もテストに向けた準備を進めている。米国スタジオが開発する「Defect」はNC Americaがパブリッシングを担当し、日本のサブカルチャースタジオへの投資も最終段階にあるという。

開発プロセスも見直した。2025年からゲーム性評価委員会、技術性評価委員会、進捗管理タスクフォースを運用し、完成度と開発日程を一体で管理している。パク共同代表は「勘や社内の主観ではなく、テスト結果と指標に基づいて次の段階に進むかどうかを決める」と説明した。新作の失敗可能性を完全には排除できないとしつつも、失敗と成功の要因を蓄積し、成功確率を高める仕組みに切り替える考えを示した。

第3の柱はモバイルカジュアル事業で、今回の懇談会でも重点分野として位置付けた。

アネル・チェマン モバイルカジュアルセンター長によると、世界のゲーム市場は約1900億ドル規模で、このうちモバイルが約半分を占める。さらに、カジュアルゲームとハイブリッドカジュアルゲームの市場規模は570億ドルに達し、3年連続で成長しているという。パク共同代表は、韓国のゲーム企業はこの市場への注目度が相対的に低かった一方、世界の大手各社はすでに積極投資に動いていると説明した。

同社は、モバイルカジュアル市場が自社の強みと接点を持つ分野だとみている。大型IPの有無よりも、データ分析、ユーザー獲得、広告効率の分析、ライブ運営の能力が重要で、30年にわたり大型MMORPGを運営してきた経験を生かせるという判断だ。パク共同代表は「不足しているのはモバイルカジュアルの直接的な事業経験だ」と述べ、補完策として2025年7月に同分野で10年以上の経験を持つアネル・チェマン氏を迎えたと説明した。

モバイルカジュアル事業は、コンセプトテスト、短期プロトタイプ制作、実ユーザーによるA/Bテスト、指標に基づく配信判断、ライブ運営の5段階で進める。小規模な単位で反復検証し、成果が確認されたプロジェクトだけを育成する設計で、チェマン氏は「全段階でデータに基づく意思決定を行う、予測可能性の高いモデルだ」と述べた。

この事業基盤を支えるスタジオとして、ドイツのJustPlay、ベトナムのLihuhu、韓国のSpringcomes、スロベニアのMoving Eyeを組み込んだ。各スタジオは本社の中央データプラットフォームと連携し、ユーザー獲得、広告効率分析、ライブ運営、人工知能機能を共有する。パク共同代表は、既存のモバイルカジュアルの成功例には単独スタジオ主導にとどまるケースが多かったとした上で、NCSoftはプラットフォームとデータ基盤を通じて複数スタジオを束ね、シナジーを生み出す体制を先行整備すると述べた。

「MMORPGの運営経験はモバイルカジュアルにも通用するのか」との質問に対し、チェマン氏は、コンテンツの性格は異なるものの、どのタイミングでどのイベントや報酬を提示するか、長期リテンションをどう高めるかという原理は共通すると説明した。モバイルカジュアル市場の最大の課題は長期リテンションの低下にあるとし、1998年から「Lineage」を運営してきた同社の経験と技術が競争力になるとの見方を示した。

収益性について、ホン・ウォンジュン最高財務責任者(CFO)は、モバイルカジュアル事業の主要コストはユーザー獲得(UA)費用と流通手数料の2つで、ROASに基づいて戦略的に執行できると説明した。自社決済の導入やライブ運営の効率化も踏まえ、収益性の低い事業ではないと強調した。現行の事業構造を前提に平均営業利益率は15%台半ばを見込み、安定化局面では20%水準も可能だとした。

NCSoftは、まず2026年に売上2兆5000億ウォンと一定規模の営業利益を確保し、その上で2030年までに売上5兆ウォン、ROE15%以上の実現を目指す。既存IPが年間1兆5000億ウォン規模で収益を下支えし、新規IPが追加成長を担い、モバイルカジュアルが全社売上の35%前後を占める構成を社内目標に据える。

パク共同代表は「社員の給料を払うのは社長ではなく顧客だ」と述べ、ユーザーの信頼回復の重要性を強調した。「ユーザーが納得してお金を使える形にしなければならない。不満を抱えたまま無理に使わせれば、結局は消耗につながる」と語った。

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