ドナルド・トランプ米大統領。写真=ホワイトハウス

米通商代表部(USTR)は11日、韓国、中国、欧州連合(EU)、日本、台湾、インド、ベトナム、メキシコなど16の国・地域を対象に、通商法301条に基づく調査を開始した。調査理由として、過剰生産能力に絡む不公正貿易慣行と強制労働による製品生産を挙げており、17日ごろから利害関係者の意見公募に入る。

USTRは同日、この調査開始を官報に掲載した。トランプ政権は、主要な貿易相手国が意図的な過剰生産を通じて対米黒字を拡大させてきたとみている。

ジェイミソン・グリアUSTR代表は同日のブリーフィングで、「主要な貿易相手国は、国内外の需要動向に見合わない生産能力を築いてきた」と述べた。こうした過剰生産能力が、過剰生産や持続的な貿易黒字、生産設備の遊休化を招いているとの認識も示した。

その要因として、政府補助金、抑制された国内賃金、国有企業による非商業的活動、市場障壁、不十分な環境・労働保護を列挙した。

USTRは官報で、韓国について「大幅または持続的な貿易黒字は、構造的な過剰生産能力と過剰生産の証拠だ」と強調した。韓国の対米黒字の背景として、電子機器、自動車・自動車部品、機械、鉄鋼、船舶などの輸出を挙げた。

韓国の対米財貿易収支は、2023年の100億ドル(約1兆5000億円)の赤字から、2024年には520億ドル(約7兆8000億円)の黒字へ急増した。USTRはあわせて、「韓国政府も石油化学分野で生産能力を削減する必要性を認めてきた」と指摘した。

今回の調査は、連邦最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税を権限乱用として無効と判断したことを受けた後続の対応に当たる。トランプ大統領は事前に301条調査の実施を予告していた。

通商法301条は、相手国の不公正な貿易慣行を理由に、関税などの対抗措置を発動できる制度だ。トランプ政権1期目には、中国に最大25%の追加関税を課す法的根拠として使われた。

当時は関税措置と並行して、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査強化、輸出規制、世界貿易機関(WTO)への紛争提起も進められた。

トランプ政権は現在、議会承認なしで7月24日まで有効な通商法122条を根拠に、全輸入品へ一律10%の関税を課している。政権はこの期間中に301条調査を取りまとめる方針で、グリア代表は「目標は、一律関税の期限前に結論を出すことだ」と述べた。

手続き面では、17日ごろから来月15日まで書面意見を受け付け、5月5日ごろに公開ヒアリングを実施する。その後、7日間の反論意見提出期間を設けたうえで、関税、手数料賦課、交渉などの対抗措置を決める。

関税が発動された場合、韓国には既存の米韓貿易合意に基づく相互関税の15%水準が適用される可能性がある。グリア代表は「各国と締結した合意は独立して維持される。対抗措置を決める際には、協定で定めた約束も考慮する」と述べた。

米韓自由貿易協定(FTA)の締結国である韓国については、明示的な関税差別の事例は事実上ない一方、争点は非関税障壁に移る見通しだ。オンラインプラットフォーム規制や情報通信網法改正案など、米ビッグテックの利害が絡む案件が争点になる可能性が高い。

Coupangの投資会社が提起し、その後撤回した個別調査の請願についても、今回の301条調査の枠組みで扱われるとの見方が出ている。グリア代表は、デジタルサービス税、医薬品価格、水産物市場アクセスを理由とする追加調査の可能性にも言及した。

一方、韓国大統領府は同日、「既存の米韓関税合意で確保した利益の均衡が損なわれず、主要国と比べて不利にならない扱いを受けられるよう、米国側と積極的に協議していく」と明らかにした。

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