イーサリアムは2022年のPoS移行後、ビットコイン建てで約65%下落した。写真=Shutterstock

イーサリアム(ETH)が、2022年のThe Mergeによるプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行後、ビットコイン(BTC)に対して大きく出遅れている。Cointelegraphによると、イーサリアムの価格はビットコイン建てで約65%下落した。

The Mergeは、イーサリアムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からPoSへ移行した大型アップグレードだ。これ以降、イーサリアムの相対的なパフォーマンス低下が鮮明になった。

この動きは、イーサリアム陣営が打ち出してきた「ウルトラサウンドマネー(Ultrasound Money)」論にも逆風となっている。供給量の縮小を通じて、長期的にはビットコイン以上に希少性の高い資産になり得るという見方が背景にあった。

イーサリアムは2021年に導入した「EIP-1559」で、取引手数料の一部をバーンする仕組みを採用した。さらに2022年のThe MergeでPoSへ移行したことで、供給減少圧力が強まるとの期待が広がっていた。

ただ、実際の供給動向は市場の想定とは異なった。データプラットフォームのUltrasound.Moneyによると、バーンメカニズム導入後、供給量は年率約0.19%減少した一方、2022年以降は年率約0.23%の増加に転じた。ビットコインの供給増加率である約0.85%は下回るものの、市場が期待した持続的なデフレ構造には至っていないとの見方が出ている。

背景にあるのが、ネットワーク手数料の低下だ。足元のイーサリアムの平均取引手数料は0.21ドル前後と、前年に比べて約54%下落した。手数料収入が減れば、EIP-1559によるバーン量も縮小し、供給抑制効果は弱まる。

加えて、取引の多くがコストの低いレイヤー2へ移ったことも、メインネット上のバーンを押し下げる要因とみられている。

市場アナリストのハンドレは、投資家が供給量の上限が明確で、発行構造の予見性が高いビットコインをより信頼していると説明した。そのうえで、「イーサリアムではスケーリングを巡る論争やアップグレード提案、金融政策変更の試みが繰り返されてきたが、経済的利害の衝突によって抜本的な変化は起きにくい」と指摘した。

ETF市場でも、両者の差は明確だ。3月時点でビットコインの現物ETFの運用資産は約919億ドルに達したのに対し、イーサリアムの現物ETFは約121億ドルにとどまった。

価格推移でも格差が出ている。イーサリアムは2021年以降、約4800ドルで高値を付けたが、ビットコインは2021年高値を基準にしても、2025年の最高値までに2倍超上昇した。

市場では、イーサリアム関係者による売却も投資家心理の重荷になったとの見方がある。共同創業者のビタリック・ブテリンやEthereum Foundation(EF)による一部売却が論争を呼び、投資家の信認を揺るがしたとの指摘もある。

投資リサーチ会社のCulper Researchは、こうした売却を根拠の1つとして、イーサリアムの空売りポジションを取ったこともあった。

一部のトレーダーからは、こうした動きが長期的な価値向上よりも価格維持を優先した対応に映るとの声も出ている。

市場では、イーサリアムが長期的な競争力を維持するには、供給構造やネットワーク需要、レイヤー2を含む拡張アーキテクチャについて、より明確な投資ストーリーを示す必要があるとの分析が出ている。

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