米国で、送電網の遊休容量を活用して電力コストの抑制を目指す産業連合「Utilize」が発足した。TeslaやGoogleのほか、Carrier、Sparkfund、SPAN、Verrus、Renew Homeなどが参加している。
米EVメディアのElectrekが10日(現地時間)に報じた。Utilizeは、米国の送電網が大半の時間帯で十分に使われていない点を問題視している。デューク大学が米国内22地域の電力システムを分析した結果、送電網の稼働率は平均で総容量の約53%にとどまったという。
送電網は需要の急増に備えて整備される一方、平常時には相当の容量が使われないまま残る。この非効率が、消費者の電気料金を押し上げる一因になっているとUtilizeはみている。
同様の傾向は別の研究でも示されている。スタンフォード大学の調査では、米西部の送電線はピーク時でも利用可能容量の18〜52%しか使われず、平均利用率は約30%だった。研究チームは、既存の送電網だけでも76〜215GWの追加需要に対応できると分析している。
Utilizeは、こうした非効率を是正すれば、今後10年で1000億ドル超、最大で1800億ドルのコスト削減が可能になるとの見方を示した。この試算は、The Brattle Groupが進めている研究として近く公表される予定だ。
なかでも注目を集めているのが、TeslaとGoogleの参加だ。両社とも送電網の効率運用と直結する事業を拡大しているためだ。
Teslaは蓄電事業を急速に拡大しており、2025年には過去最大となる46.7GWhの蓄電設備を導入した。エネルギー事業の売上高も127億ドルで、前年比約27%増となる見通しだ。
同社は家庭用蓄電池「Tesla Powerwall」を活用した仮想発電所(VPP)プログラムを通じ、送電網の需要管理事業も広げている。
一方のGoogleは、AI向けデータセンターの拡張に伴って電力需要が急増している。最近では、データセンター向け電力インフラの確保に47億5000万ドルを投じた。米国のデータセンター電力需要は、2026年の75.8GWから2030年には134.4GWに増える見通しという。
送電網の遊休容量を活用できれば、データセンターのような大口需要でも、新たな発電所や送電網を建設せずに、より早く接続できる可能性がある。
Utilizeは政策面での働きかけも進めている。バージニア州議会を通過したSB 621/HB 434法案には、主要電力会社に送電網の利用率の測定と報告を義務付ける内容が盛り込まれた。現在は州知事の署名待ちとなっている。
Utilizeは今後、蓄電池、デマンドレスポンス、VPP、送電網最適化技術を活用し、各州政府と連携しながら既存送電網の効率運用を後押しする方針だ。業界では、送電網の利用率を高める取り組みが、電気料金の抑制と電力需要の増加への対応を両立する現実的な選択肢になり得るとの見方が出ている。