Naverが5日に「Naver Plus Store」アプリへ導入した対話型の「ショッピングAIエージェント1.0」を記者が試したところ、検索基盤に支えられたデータ量の厚みは感じられた一方、対話を重ねるほど推薦の軸がぶれ、同じ候補に戻る場面も目立った。ベータ版としての可能性はあるが、現時点では文脈理解や推薦の一貫性に課題を残している。
ショッピングAIエージェントは、アプリ内でショッピング関連のキーワードを入力すると自動で起動する対話型推薦サービスだ。Naverは、コマース特化の自社大規模言語モデル(LLM)「ショッピング・インテリジェンス」を基盤に、価格、商品、ユーザー嗜好、配送情報などを学習させたとしており、AIショッピング分野で先手を打つ構えを示している。
質問を重ねるほど堂々巡りに 文脈反映に弱さ
今回の検証では、「ゲーミングノートPC」をキーワードに使った。高性能メモリ需要の拡大でRAM価格が上昇し、PCハードウェアの購入負担が増す中、完成品としてのゲーミングノートPCへの関心も高まっているためだ。
最初に「ゲーミングノートPCを推薦して」と入力すると、AIエージェントはGPU性能、CPU、RAM容量、ディスプレイ、ストレージ、冷却性能、騒音、重量、携帯性などを選定基準として示し、「Lenovo Legion ゲーミングノートPC(Core i7、GeForce RTX 5060、RAM 16GB、SSD 1TB)」を推薦した。初回の応答としては自然だった。
次に「RAM容量を調整できるノートPCはない?」と尋ねると、AIはメモリスロットの有無やオンボード実装かどうかの確認を促したうえで、「Samsung Electronics Galaxy Book4」を提示した。ただ、ここでは推薦の軸がゲーミングノートPCから外れている。
そこで「ゲーミングノートPCの中で選んで」と条件を戻すと、再び「Lenovo Legion ゲーミングノートPC」が提示された。対話を積み上げるというより、初回の推薦に戻った格好だ。
さらに「ゲーミングノートPCのうち、RAM容量をアップグレードできるモデルで教えて」と聞くと、RAMの増設可否、グラフィックス性能、発熱と冷却、レビュー評価などを基準に「HP Omen 17」を推薦した。ただし提示されたのは32GBモデルで、16GB構成を前提に将来的な増設を検討していた質問意図とはずれがあった。
その後、「16GBモデルで教えて」と条件をさらに絞ると、今度はディスプレイ、携帯性、ストレージと拡張性、バッテリー、発熱管理の観点を示したうえで、「Samsung Electronics Galaxy Book5」を推薦した。質問を重ねるほど条件が蓄積されるというより、推薦基準そのものが揺れている印象が強い。
続けて「いくつか選択肢を出して」「250万ウォン台の製品の基本スペックはどの程度か」「250万ウォン台のゲーミングノートPCを推薦して」などと質問したが、結果は大きく変わらなかった。価格帯別のガイドは示される一方で具体的な推薦商品が抜ける場合があり、「当該リクエストは処理できません」といったエラー表示に近い応答も確認された。同じ質問を再入力すると、すでに提示された「Lenovo Legion ゲーミングノートPC」が再び推薦される場面もあった。
同じ質問をGoogle Geminiに入力した場合は、価格帯、用途、アップグレード可否といった条件に沿って複数製品が比較的一貫して提示された。これに対し、NaverのショッピングAIエージェントは、対話が長くなるほど推薦の軸がぶれたり、既出の候補に回帰したりする傾向が目立った。
Naver検索のデータ蓄積は強み 完成度向上が今後の焦点
ショッピングAIエージェントはベータ段階のサービスであり、実際に使うと改善の余地は少なくない。
とりわけ、条件を追加しながら絞り込んでいく過程では限界が見えた。追加質問のたびに、それまでの会話文脈が十分に反映されていないように見えたためだ。応答自体は丁寧だが、「1質問1回答」に近く、対話型エージェントとしてはやや間延びした印象も残る。
推薦結果が特定の販売先に偏って見える点も気になった。質問を変えても似たストアが繰り返し表示され、どの基準で推薦しているのか分かりにくい。広告商品の優先表示の有無について、Naver関係者は「広告商品を優先して推薦する構造ではない」と説明した。
一方で、Naver検索、ブログ、カフェ、クリップなど自社プラットフォームに蓄積してきた膨大なデータは、このサービスの最大の強みといえる。実際、回答生成の過程では関連検索語や文書、販売中の商品に基づくショッピングキーワードも併せて参照しており、回答下部の出典リンクでもブログやウェブ検索の情報が活用されていた。実ユーザーの体験やコミュニティ情報を組み合わせられる点は、国内プラットフォーム発のショッピングAIとして発展余地を感じさせる。
もっとも、現時点で対応カテゴリがデジタル家電、リビング、サブスクリプションに限られている点は物足りない。ショッピングアプリ「Naver Plus Store」内のサービスでありながら、幅広いカテゴリで使えないためだ。
Naver関係者は「ベータ1.0のため適用カテゴリはやや限定されている」としたうえで、「上半期中にビューティーや食品などへ品目を拡大する予定で、その後はより多くの情報検索と推薦が可能になる」と述べた。