人工衛星を活用し、宇宙空間でビットコインを採掘する構想が動き出した。Cointelegraphは3月9日、宇宙技術・AIインフラ企業のStarcloudが、人工衛星でビットコイン採掘を始める計画を公表したと報じた。年内に予定する2回目の打ち上げで採掘装置を搭載する計画で、実現すれば宇宙空間でビットコインを採掘する初の企業となる可能性がある。
Starcloudは、Nvidiaの支援を受ける宇宙データセンター企業。AIや高性能コンピューティングの急増する電力需要に対応するため、宇宙ベースのデータインフラ構築を進めている。
フィリップ・ジョンストンCEOはX(旧Twitter)への投稿で、「宇宙でのビットコイン採掘は、将来的に大規模産業へ成長する」との見方を示した。ビットコイン採掘には約20GWの電力が継続的に必要で、地上で賄う負担は大きいと指摘。その上で、「最終的には大規模な採掘の多くが宇宙で行われる可能性がある」と述べた。
同CEOはインタビューで、採掘機器の効率面でも宇宙採掘に利点があると説明した。ASIC(特定用途向け半導体)ベースの採掘機器はGPU(グラフィックス処理装置)ベースのシステムより効率が高く、1kW級のASIC機器は約1000ドル(約15万円)で導入できる一方、GPUベースのシステムは約3万ドル(約450万円)に達するという。電力効率の面でもASICが優位で、宇宙環境ではより適しているとの認識を示した。
Starcloudは2024年初めに設立された。AI演算需要の急増を見据え、宇宙データセンターの構築を掲げている。2023年11月にはNvidiaのH100 GPUを搭載した試験衛星を打ち上げており、将来的には約8万8000基の衛星で構成する大規模な軌道上データセンターネットワークの構築計画も示してきた。衛星の電力は主に太陽光で賄うとしている。
宇宙で暗号資産を活用する構想は、これが初めてではない。技術起業家のホセ・E・フエンテ氏とカルロス・フエンテ氏は昨年、ビットコインを火星へ送金する案を提案した。2人は、米航空宇宙局(NASA)がStarlinkの光通信リンクと新たな惑星間タイムスタンプシステムを活用すれば、約3分でビットコインを火星に送れると説明していた。
もっとも、惑星間通信には遅延やネットワーク上の制約がある。このため、火星で直接採掘を行うのは、現時点の技術水準では現実的ではないとの見方もある。
AIデータセンターと暗号資産採掘はいずれも大量の電力を消費する。こうした中、宇宙ベースの電力・コンピューティングインフラが新たな代替案として浮上する可能性があるとの見方が業界内で広がっている。