韓国電子通信研究院(ETRI)は3月10日、通信とセンシングを一体化した6G向け技術「通信補助・超精密・超低消費電力センシングシステム(CUPPS)」の基盤技術を世界で初めて開発したと発表した。
6Gでは高周波数帯の活用によって広帯域を確保できるため、通信速度だけでなくセンシング精度の向上も見込まれている。従来は通信とセンシングを別個に運用する構成が中心だったが、今後は単一キャリアで両機能を同時に担う統合型への移行が進むとみられる。
ETRIが開発したCUPPSは、こうした6Gの統合構造の中で、通信とセンシングの役割を分けて設計した点が特徴だ。通信は接続の維持とセンシングのタイミング制御を担い、実際の測位は端末に搭載した超低消費電力タグが実行する。これにより、周波数利用効率とセンシング精度の両立を図ったという。
現在の5Gベースのセンシングは、端末が信号を受信・処理した後に再送信する往復方式(RTT)を採用しており、送受信処理に伴う遅延が避けられず、消費電力も大きいことが課題となっている。
これに対しCUPPSは、ビームフォーミングベースの通信によってセンシングのタイミングを高精度に制御し、端末側では必要な瞬間だけ超低消費電力タグを動作させてセンシングを行う。センシング区間における端末の電力負担を構造的に抑えられるとしている。
研究チームは屋外試験で、強い干渉環境でも多数端末の位置を、5G RTTの目標精度比で約350倍の精度で測定できたとしている。さらに、センシングが必要なタイミングに限ってタグを動作させることで、端末の消費電力を従来比で90%以上削減できることも確認した。
ETRI6G無線方式研究室で技術統括を務めるチャン・ガプソク氏は、「通信網が単なるデータ伝送を超え、周辺環境を精密に認識する機能を超低消費電力で実現した世界初の事例だ」とコメントした。