Arduinoは3月10日、エッジAIボード「Ventuno Q」を発表した。Embedded Worldに合わせて公表したもので、Qualcommの「Dragonwing IQ-8」シリーズを採用する。Ventunoはイタリア語で「21」を意味する。
Ventuno Qは、AI処理とリアルタイム制御を単一ボードに集約したのが特徴だ。認識だけでなく、外界と相互作用するシステムの実装を想定し、AIおよび生成AIのワークロードに対応する。NPUによるアクセラレーションにより、最大40 Dense TOPSの性能を提供する。
制御系にはSTM32H5マイクロコントローラも搭載し、低遅延のアクチュエータ制御やモーター制御を支援する。メモリ容量は16GBで、同時推論や複雑なマルチタスクに対応。ストレージは最大64GBまで拡張できる。
同製品は、オフライン環境で自律動作するAIエージェント基盤の開発を支援する。想定用途として、ローカルLLMを活用したオフライン音声アシスタント、ジェスチャーに反応するスマートミラー、エッジASRとTTSを活用した観光案内キオスクなどを挙げた。
ロボティクス分野では、ビジョンベースのピックアンドプレース向けロボットアーム、利用者を認識して追従するサービスロボット、Visual SLAMと経路最適化を組み合わせた自律移動ロボットなどへの活用を見込む。
メインプロセッサはUbuntuおよびDebian Linuxをサポートする。リアルタイム処理向けのマイクロコントローラは、Zephyr OSベースのArduino Coreで動作し、時間制約の厳しい処理でも決定論的な動作を確保する。
開発環境「Arduino App Lab」では、ArduinoスケッチやPythonスクリプトに加え、ローカルLLM、VLM、ASR、ジェスチャー認識、ポーズ推定、物体追跡などのAIモデルを単一環境で開発できる。AI機能はQualcomm AI Hub経由で提供し、オフライン実行に対応するという。
PCに接続して使えるほか、単体のシングルボードコンピュータとしても動作する。CAN-FD、PWM、高速GPIOなどの産業用I/Oを備え、ROS 2ベースのロボティクスワークフローにも標準対応する。
このほか、複数のMIPI-CSIカメラ、オーディオ、ディスプレイ、2.5Gb Ethernetもサポートする。ArduinoでQualcomm Technologies担当副社長兼本部長を務めるパビオ・ビオランテ氏は、「Ventuno Qによって、AIはついにクラウドの外へ出て、物理世界で動作する段階に入った。認識し、判断し、行動するマシンを単一ボードで実装できる」とコメントした。
Qualcomm Technologiesの上級副社長兼オートモーティブ・産業・組み込みIoT部門本部長、ナクル・ドゥガル氏は、「Ventuno Qは、エッジAIをより強力で身近なものにするというArduinoとQualcommの共同ビジョンを反映した製品だ」と説明。「Dragonwingプロセッサの性能とArduinoの幅広い開発者エコシステムを組み合わせることで、世界中の数百万人の開発者に先端的なエッジAIを届けられるようになった」と述べた。