Daumが、実時間トレンドのβ版提供を開始するとともに、ロゴを旧来の4色配色に戻し、ホーム画面も全面刷新した。低迷が続く利用者基盤のてこ入れに加え、Upstageとの連携を見据えたデータ蓄積の狙いもあるとの見方が出ている。
KakaoとUpstageは1月、KakaoがAXZの持分をUpstageに譲渡し、代わりにUpstageの一定持分を取得する株式交換取引に向けた覚書を締結した。Upstageは自社のLLM「Solar」とDaumを組み合わせ、次世代のAI検索プラットフォームを構築する計画を掲げている。
ただ、AI検索の高度化には十分な利用データが欠かせない。ユーザーが検索し、ニュースを読み、コメントを投稿する過程で生まれる行動データの蓄積が必要になるためだ。このため業界では、今回の改編を単なるUI見直しではなく、買収完了前に利用者基盤を立て直す布石とみる声がある。
### 低迷する検索シェア、再建急ぐ
業界によると、Daumの検索市場シェアは直近1カ月ベースでInternetTrend調べが2.6%、前月のStatCounter調べが1.56%だった。Naverの65.4%、Googleの27.8%に大きく差をつけられているほか、Microsoft Bingの3.53%も下回り、4位にとどまっている。かつて主要ポータルの一角を占めたDaumだが、足元ではシェアが1~2%台まで落ち込んでいる。
こうした状況の中で打ち出されたのが、実時間トレンドの再導入とホーム刷新だ。まず利用者の再訪を促し、そこからニュース、コミュニティ、検索へと回遊を広げる導線を作る狙いがあるとみられる。
### 実時間トレンド再導入の狙い
AXZは3日、「実時間トレンド」のβ版サービスを開始した。ニュース、検索語、Web文書など複数のデータを総合分析し、1位から10位までを10分ごとに更新する仕組みだ。
2020年2月に廃止された実時間検索ワードを事実上復活させた格好で、従来の「Today Bubble」と「AI Issue Briefing」の技術を統合したとしている。
実時間トレンドの強みは、いま何が注目されているかを一目で把握できる点にある。他のユーザーが何を検索しているのかという関心を入り口に、関連ニュースの閲覧やコミュニティ滞在、追加検索へと自然につなげやすい。こうした回遊が戻れば、滞在時間の増加や広告表示機会の拡大にもつながる。
もう一つの狙いはデータの蓄積だ。どのキーワードに反応が集まるのか、どの記事が読まれ、どのコメントが付くのかといった情報は、いずれもAIモデルの改善材料になる。
Googleが2024年、米ソーシャルニュース・討論プラットフォームのRedditと6000万ドルのデータ契約を結び、Naverが「OpenTalk」をコミュニティ型へ改編したのも同じ文脈にあるとの見方がある。AIモデルの性能が高まっても、人がリアルタイムで生み出す反応や文脈は、整形済みデータだけでは代替しにくいためだ。
業界では、実時間トレンドを通じて得られる行動データが、Solarを軸とするAI検索の高度化を支える基盤になり得るとの見方も出ている。
### 不正対策を講じて再導入
過去に実時間検索ワード廃止の一因となった世論誘導やアビューズへの対策も盛り込んだ。反復検索は1回のみ集計し、少数による集中検索やボットとみられるパターンは自動的に除外する。
地方選挙の60日前からは、登録候補者に関連する人物キーワードを順位表示の対象外とし、深夜帯の午前1時から6時までは運用を制限する。
### 4色ロゴ復活、ホームも全面刷新
ブランド面でも見直しを進めた。AXZは、単色に変更していたDaumロゴを4色配色に戻した。単色化以降、違和感を指摘するユーザーの反応が続いていたことを踏まえた対応としている。
ホーム画面には、スポーツ中継、コミュニティの話題、ゲームサービス「OnDaum」のウィジェットを追加した。ホームフィードには主要ニュース、ライブ、株式市況のスロットも組み込んだ。
検索しなくてもホーム上でコンテンツ消費を完結できる設計とし、トップ画面そのものを滞在時間を伸ばす起点に変える狙いだ。4色ロゴの復活と実時間トレンドの再導入が同時期に実施されたことで、ブランドの親和性回復と再訪促進を一体で進める施策と受け止める向きもある。
### 焦点は利用者回帰につながるか
Daumが抱える「Brunch」や「Cafe」などのUGCは、この戦略の重要な資産だ。検索市場では、Naverがショッピングや地域情報に強く、Googleが情報探索で優位に立つ中、Daumが狙えるのはリアルタイム性と、人が直接書くコンテンツを組み合わせた領域だとみられている。
AXZが社内で、パーソナライズされたソーシャルフィード型コミュニティサービスを準備中と伝えられているのも、この方向性と重なる。
Daumの現実的なシェア回復シナリオは、検索市場で一気に巻き返すというより、段階的な再建に近い。ホーム滞在時間の増加から実時間トレンドの再訪、ニュースやコミュニティ消費の拡大、検索頻度の回復、そしてAI検索への転換へとつなげる流れだ。当面の課題はシェアを急拡大させることではなく、まず下落基調に歯止めをかけられるかにある。
業界関係者の一人は、「今回の改編が実際のユーザー流入につながらなければ、独立ポータルとしての地位維持は容易ではないだろう」と話した。
実時間トレンドでユーザーを呼び込み、ホーム刷新で滞在時間を延ばし、UGCとコミュニティでデータを蓄積してUpstageのAI技術につなげる――。Daumが描く構図は明確だ。焦点は、個々の改編が実際の流入増と再訪率の改善に結び付くかどうかにある。