左から「Dujjonku Flavor Aisle」、「TERRA ZERO」。写真=HiteJinro、KIPRIS

HiteJinroが、フレーバーソジュやノンアルコール商品の拡充に動いている。2月には新たなフレーバーソジュを発売したほか、「TERRA ZERO」の商標も出願した。主力ブランド「JINRO」ではアルコール度数の引き下げにも踏み切っており、ソジュ中心の事業基盤を維持しつつ、低アル・ノンアル需要と海外市場の開拓を進める構えだ。

同社は2025年末、チャン・インソプ副社長を新たな代表取締役に選任した。トップ交代は14年ぶり。新体制の発足後、商品戦略の具体化が加速している。

2月末には「Dujjonku Flavor Aisle」を発売した。果実フレーバーソジュ「Aisle」シリーズの新商品で、「Dujjonku」トレンドを反映したとしている。

あわせて「TERRA ZERO」の商標権も出願した。指定商品区分にはノンアルコールビールや非アルコール性飲料が含まれており、ビールブランド「TERRA」のノンアル商品展開を視野に入れた動きとの見方が出ている。

「青い瓶」で知られるソジュ「JINRO」も刷新した。2019年の発売以来、累計販売本数は約25億本に達している。今回は低アル志向を踏まえ、アルコール度数を16度から15.7度に引き下げた。刷新は2023年以来、3年ぶりとなる。

一連の施策は、ソジュとビールを主軸とする事業構造を保ちながら、消費トレンドの変化とノンアル市場の拡大に対応する取り組みといえる。

◆酒類市場の変化に対応、低アル・ノンアルを強化

背景には、酒類市場の構造変化がある。世界市場では若年層を中心にソバーライフ志向が広がり、低アルコール飲料やノンアルコール飲料が従来の酒類の代替として定着しつつある。

業界によると、世界のノンアルコール飲料市場は直近5〜6年で年平均約23%の高い成長率を記録したとされる。主要酒類メーカー各社も低アル商品の拡充やノンアル市場への参入を進めており、韓国市場でも同様の流れのなかで、HiteJinroはノンアルビールや低アル商品のラインアップを広げてきた。

足元の業績だけをみれば、直ちに危機的な状況とは言いにくい。ソジュ事業を軸に一定の売上規模を維持しているためだ。

金融監督院の電子公示システムによると、同社の連結売上高は2020年が2兆2563億ウォン、2021年が2兆2029億ウォン、2022年が2兆4976億ウォン、2023年が2兆5202億ウォン、2024年が2兆5992億ウォンだった。営業利益は2020年が1985億ウォン、2021年が1741億ウォン、2022年が1906億ウォン、2023年が1239億ウォン、2024年が2081億ウォンとなっている。

それでも商品・市場戦略の拡張を続けるのは、中長期的な市場環境の変化を見据えているためだ。韓国の酒類市場は飲酒人口の減少などで成長が鈍化しており、内需中心の拡大には限界があるとの見方が強い。こうした中、海外市場の拡大と新たな飲用シーンの開拓が課題として浮上している。

◆新ビジョンは「グローバル総合酒類企業」、ソジュ依存の是正も課題

HiteJinroは2024年6月、新たな企業ビジョンとして「グローバル総合酒類企業」を打ち出した。創立100周年を機に、2030年までにソジュ「JINRO」の世界化と大衆化を進める方針を盛り込んだ。ビジョンのキーワードは「グローバル」「総合酒類」「JINRO」だ。

一方で、同社の売上は依然としてソジュへの依存度が高い。事業報告書によると、2024年の売上高2兆5992億ウォンのうち、ソジュは1兆5480億ウォンで59.6%を占めた。ビールは8236億ウォンで31.7%、ミネラルウォーターは1531億ウォンで5.9%、その他は745億ウォンで2.9%だった。

ソジュ事業は内需依存も大きい。2024年のソジュ売上のうち国内向けが95.2%を占め、海外売上は650億ウォン、構成比は4.8%にとどまった。ビジョン発表時には、ソジュの海外売上目標として5000億ウォンを掲げている。

同社が示す海外戦略の柱は、製品強化、流通拡大、コミュニケーション拡張の3つだ。こうした方針を踏まえると、JINROの大衆化は単なる輸出拡大にとどまらず、果実フレーバーやシュガーゼロなど、トレンドを反映した商品ラインの拡充まで含むものとみられる。

チャン・インソプ体制は、こうした戦略を実行段階に移すための布陣とも受け止められている。代表交代は14年ぶりで、成長鈍化局面に対応する構造改革の入り口との見方もある。

14年間にわたりHiteJinroを率いたキム・インギュ前代表は、2011年のHiteJinroとJinroソジュの合併で発足した同社で、ソジュとビールの2本柱による事業基盤を築いた。発泡酒や果実フレーバーソジュ、ノンアル市場の開拓でも実績を残した。

これに対し、チャン代表は戦略企画チームや倫理監査チームを含む経営戦略部門のほか、法務、対外協力、物流、コミュニケーション統括などを歴任してきた。戦略立案や制度設計、企画面に強みを持つとされ、成長局面後のHiteJinroを率いる適任者との評価があるという。

HiteJinroは今後、チャン代表の下で組織再編や運営効率化、財務構造の見直しを進める一方、ソジュを基盤とした海外成長戦略の具体化を図るとみられる。掲げた「グローバル総合酒類企業」のビジョンを実際の成長につなげられるかが、新体制の成否を左右しそうだ。

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