NEXUSのAIエージェント向けバトルロイヤル・プラットフォーム「Moltiroyale」で、参加AIエージェント数が8日午前9時時点で410万を超えた。2月4日のサービス開始から約1カ月で到達した。
参加数は2月11日に1万7000、24日に35万、3月4日に270万、5日に310万、6日に350万と増加。直近2日間だけで60万増えた。
Moltiroyaleがゲーム業界で注目を集める理由は、規模の拡大だけではない。人が操作する従来型ゲームではなく、AIエージェント自身が自律的に競い合う仕組みを採っているためだ。
### プレイヤー不在のゲーム空間、AIが自律的に競争
Moltiroyaleは、AIエージェントが人の操作なしに戦略を立て、生存を競うバトルロイヤル・プラットフォームだ。各エージェントが状況に応じてどのような判断を下したかは、リアルタイムのテキストログとして表示される。
利用者はプレイヤーではなく、観戦者として参加する。
従来のゲームが人の操作や判断を前提に設計されてきたのに対し、MoltiroyaleはAIを主体に据えた構造を採用する。NEXUSは、AIエージェントが自律的に競争し、経済行動まで担う「エージェントバース」生態系を、ゲームの形で具現化したとしている。
この構想は、NEXUSが2月に打ち出した事業転換戦略「Molt」とも重なる。Moltは甲殻類が成長の過程で殻を脱ぐことを意味し、従来のWeb2ゲームからオンチェーンAI基盤プラットフォームへの転換を象徴する言葉だ。
外見上の演出を変えるのではなく、ゲームを支える経済構造そのものを組み替える構想と位置付けられる。
### Moltzをトークン化、オンチェーン経済の第一歩に
Moltiroyaleが単なる観戦プラットフォームにとどまらないことは、2月27日の大型アップデートで明確になった。ゲーム内通貨「Moltz($MOLTZ)」をブロックチェーントークンとしてトークン化したためだ。
MoltzはCROSSネットワーク上で発行され、分散型取引所(DEX)で直接売買できる。ゲーム内通貨を外部市場と接続した格好だ。
ゲームモードは無料と有料(プレミアム)の2種類。無料モードでは参加費なしで1000Moltzの賞金プールを分け合う。ウォレットを連携したユーザーは、Moltzに加えてCROSSトークンも即時に受け取れる。
100Moltzを獲得した場合は、100Moltzに加えてCROSS0.1が自動で支給される。
有料モードでは、AIエージェント1体ごとに参加費を支払ってエントリーする。参加費は当初1000Moltzだったが、パッチ適用後に100Moltzへ引き下げた。
AIエージェント100体が参加した場合、賞金プールは計1万Moltzとなる。優勝したエージェントはこのうち80%に当たる8000MoltzとCROSS160を獲得し、残る10%はバーン(焼却)、10%は運営財源に充てられる。
NEXUSは、バーンが進むほど流通量が減少し、トークンの希少性が高まる設計だとしている。
チャン・ヒョングク代表はX(旧Twitter)で、「もはや傍観者はいない。自律的な経済エージェントが絶えず成長する」と投稿した。
### 課題は一般ユーザーへの拡大、収益化導線の整備急ぐ
もっとも、参加AIエージェント数が410万を超えたことが、直ちに収益に結び付くわけではない。実際にオンチェーン経済を回すには、無料ユーザーを有料モードへ移行させる必要がある。
参加費を10分の1に引き下げ、CROSS報酬の比率を高めたのは、この転換率の引き上げを狙った措置とみられる。
より本質的な課題は、一般ユーザーにとっての利用ハードルだ。現時点では、AIエージェントの作成に基本的なプログラミング知識が求められる。
主要なエージェント操作インタフェースである「OpenClaw」は、ターミナル操作のスキルを必要とし、API利用料も継続的に発生する。セキュリティ面でも、初期設定でPC全体へのアクセス権を求める仕様のため、個人情報流出のリスクがあるとされる。
このため、410万超のAIエージェントの多くは、開発者層による流入だった可能性がある。
NEXUSは対応策として、「CROSS Agent」ポータルを準備している。コーディングなしでエージェントの個性や戦略方針を設定するだけで、Moltiroyaleに投入できる仕組みを目指す。
セキュリティやコスト管理もプラットフォーム側が担う方針だ。OpenAI、Google Gemini、Anthropic Claude、Grokなど主要AI企業のエージェントが登場した場合には、同ポータルを統合ハブとして機能させる構想も示した。
収益化の仕組みづくりも始まっている。NEXUSは6日、SC Walletとx402機能を導入した。SC Walletでは、エージェントが完全なオンチェーン管理の下で運用され、報酬はスマートコントラクトのアカウントに直接入金されるという。
x402機能では、エージェントがBaseネットワーク上のUSDCでMoltzを直接購入できる。追加の承認や仲介を介さず、エージェント自身がAPIを呼び出してトークンを取得する仕組みで、自律的な経済行動を実装した形だ。
チャン・ヒョングク代表はXで、「トラフィックが直接収益へ転換され始めた。真の収益創出の輪が開いた」と投稿した。あわせて、現在の成長ペースが続けば、月末までにAIエージェント数が1000万を超える可能性があるとの見通しも示した。