NHNの鄭祐鎮社長(写真=NHN)

NHNは3月26日に開く定時株主総会で、鄭祐鎮代表取締役の社内取締役再任案を付議する。2014年の就任以来、約12年にわたって同社を率いてきた鄭社長は、2025年に会社分割後の通期ベースで過去最高の営業実績を達成した。決済とクラウドの収益化を足場に、次の課題としてゲーム事業の再建に取り組む構えだ。

韓国のゲーム・IT業界では、専門経営者が単一企業を10年以上率いるケースは珍しい。業界では、大きな変数がなければ今回の再任案は可決される公算が大きいとの見方が出ている。

◆危機を機に事業構造を転換、10年越しで成果

鄭社長が就任した2014年当時、NHNの売上高の88.3%はゲーム事業が占め、その中心はウェブボードゲームだった。ところが同年、政府が月間決済上限や賭け上限、損失制限などの規制を導入し、有料利用者は40〜50%減少、関連売上高も60%超落ち込んだ。

単一事業への依存リスクが、就任初年度から表面化した格好だ。これを受けて鄭社長は、ゲーム、決済、技術分野(クラウド・AI)を3本柱とする事業再編に着手した。

非中核事業の整理も進め、連結子会社数は2025年7〜9月期時点で65社まで減少した。規模拡大型の戦略から、「選択と集中」へ大きくかじを切った。

こうした構造改革の効果は、2025年の業績に表れた。連結売上高は前年比2.5%増の2兆5163億ウォン、営業利益は1324億ウォンとなり、黒字転換を果たした。会社分割後の通期ベースでは過去最高となる。

2024年は「TMON・Wemakeprice事態」の影響で、連結子会社の未収債権に対する貸倒償却費など一時的な費用が反映され、326億ウォンの営業損失を計上していた。今回の業績は、外部ショックを吸収した後の収益基盤の強さを示したともいえる。

売上構成も大きく変わった。非ゲーム事業の売上比率は2014年の11.7%から、2025年には80%超まで上昇した。NHNはゲーム依存の収益構造から、決済とクラウドを中心とする事業構成へ転換を進めてきた。NHN PAYCOは2025年7〜9月期に初の四半期黒字を達成し、NHN Cloudも10〜12月期に四半期ベースで初の営業黒字を記録した。

初期投資負担の大きかった主力子会社がそろって収益化局面に入ったことで、構造改革は最終段階に差しかかったとの見方もある。決済とクラウドが成長を支える一方、市場で企業価値の再評価を促すカギを握るのは、なおゲームのヒット創出だ。

2025年は、決済部門と技術部門がそれぞれ10%超成長したのに対し、ゲーム部門の売上高の伸び率は4%にとどまった。鄭社長が掲げていた「ゲーム売上高30%成長」の目標にも大きく届かなかった。

非ゲーム事業の売上比率が80%を超えた現在でも、業績の変動性やバリュエーションを左右する要素としてゲーム事業の存在感は大きい。4期目の焦点が再びゲーム再建に移るとみられる理由でもある。

◆規制緩和と新作6本でゲーム再浮上を狙う

鄭社長は4期目に向け、ゲーム、技術、決済の3事業が同時に成長する体制の完成を目標に掲げる。とりわけゲーム事業では、外部環境の改善と新作投入が重なり、事業回復への期待が高まっている。

2026年からは、ウェブボードゲームの月間決済上限が70万ウォンから100万ウォンに引き上げられた。規制変更から1週間で、関連売上高は前月の同期間比で2桁成長を記録した。

NHNは「Hangame Poker」などを手がけるウェブボード分野の有力事業者で、今回の規制緩和の恩恵を最も直接的に受ける企業の1社とみられている。

新作投入も進める。NHNは2026年に計6タイトルを投入する計画だ。収集型RPG「Abyssdia」は2月25日のグローバル配信開始後、Google Playの人気ランキングで1位となり、好調な立ち上がりを見せた。

「Oshi no Ko Puzzle Star」も同日に日本で配信を開始し、現地のApp Store人気ランキングで1位を記録した。Square Enixと共同開発した「Dissidia Duelium Final Fantasy」は、3月の正式リリースを控えてグローバル事前登録を始めている。

安賢植最高財務責任者(CFO)は決算説明会のカンファレンスコールで、「Final Fantasyの新作が営業利益に少なくとも10%以上寄与できるよう努力する」と述べた。

日本市場でファン層が確認されている有力IPを集中的に活用する今回の新作戦略は、大型開発に伴うリスクを抑えつつ、初動のヒット確率を高める狙いがあるとみられる。

技術部門では、政府のGPU導入・構築事業(NVIDIA B200 7656枚)が今月から本格稼働に入る。さらに、Kraftonの大規模GPUクラスター事業者にも選定され、顧客基盤が公共分野から民間へ広がる動きも見え始めた。

決済部門では、NHN KCPの海外加盟店の取扱高が前年比28%増加した。ステーブルコイン基盤の決済事業についても、主要パートナーとの連携を協議しながら、次世代の収益源として準備を進めている。

鄭社長は年頭メッセージで、「2026年はゲーム・技術・決済の中核事業を中心に、NHNグループ全体の企業価値が一段と飛躍する新成長の元年になる」と述べた。10年に及ぶ構造改革の成果を土台に、3本柱の同時成長を実現できるかが、4期目の評価を左右しそうだ。

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