BitMEX共同創業者のArthur Hayes氏は、AIによる自動化の進展と中東の地政学リスクが同時に強まれば、世界の金融システムに深刻なストレスがかかる可能性があると警鐘を鳴らした。足元の投資戦略としては、ビットコイン(BTC)よりも現金や金、短期米国債を優先すべきだとの見方を示している。
Cointelegraphが6日(現地時間)に報じたところによると、Hayes氏は最近のYouTube配信で、地政学的緊張、AIによる雇用減少、金融市場のレバレッジ拡大が重なった場合、ここ数年で最も厳しい市場環境になり得ると述べた。
とりわけリスクとして挙げたのが、ホワイトカラー領域で進むAI自動化だ。Hayes氏は、今後3~6カ月以内に米国の高所得の知識労働者層の約10~20%が職を失う可能性があるとみている。
同氏は「彼らは住宅ローンや自動車ローン、学資ローンを抱える金融システムの中核層だ」としたうえで、「そのうち20%が失職するだけでも銀行危機の引き金になり得る」と主張した。
中東情勢も、もう一つの大きな懸念材料と位置付けた。イスラエルとイランの対立がさらに拡大すれば、エネルギー市場と金融市場の双方にショックが及ぶ可能性があるという。
さらに、ドナルド・トランプ米大統領による対応の猶予は約4週間あるとの見方を示し、戦闘が石油インフラや海上輸送路に波及した場合には原油価格が急騰する恐れがあると指摘した。Hayes氏は「原油価格が過度に上昇すれば市場は耐え切れず、政治的圧力によって解決策が迫られる」と語った。
こうした不確実性を踏まえ、現時点の投資戦略として同氏は、現金の確保、金への投資、短期米国債の購入を提示した。中央銀行が金融システムのストレスに対応するため、大規模な流動性供給に踏み切るまではこの方針を維持する考えだ。
一方で、長期的には暗号資産が価値保存手段として有効だとの見方を維持している。ただ、目先の危機局面ではビットコインは即効性のあるヘッジ手段にはなりにくいとした。
そのうえで、分散型デリバティブ取引プラットフォームのHyperliquidについて、今回の市場サイクルで最も注目すべきプロジェクトの一つだと評価した。強みとして、ウォッシュトレード比率の低さ、収益還元の仕組み、チーム向けトークン配分の透明性を挙げた。
Hayes氏は「真の暗号資産アルファを探すなら、Hyperliquidは今回のサイクルで最も際立つプロジェクトだ」と述べ、ミームコイン中心の投機的な流れよりも、ファンダメンタルズに裏付けられたプロジェクトに注目すべきだと強調した。
また、米議会で審議されている暗号資産規制法案「CLARITY Act」についても懐疑的な見方を示した。伝統金融と暗号資産市場を結び付けるとの期待に対し、「影響はほとんどない」「オンチェーン経済はこうした枠組みとは独立して動く」と語った。
Hayes氏は、ビットコインや主要暗号資産は長期的にみれば法定通貨建て資産を上回る可能性が高いとしつつも、短期投資ではなおマクロ環境と市場のタイミングが重要だと指摘した。投資家に対しては、まず流動性を確保し、金などの実物資産で分散を図り、中央銀行の政策転換が明確になるまで新規の暗号資産ポジションを急がないよう助言した。