Deutsche Bankはこのほど、足元のビットコイン急落について、市場の崩壊ではなく信認低下が背景にあるとの見方を示した。機関投資家の資金流出、金や株式との相関低下、規制進展の停滞が重なり、短期的なショックではなく「リセット局面」に入っていると分析している。
米CoinDeskは5日(現地時間)、この内容を報じた。同行は下落の主因として、(1)機関投資家による継続的な資金流出(2)ビットコインと伝統的資産の相関低下(3)規制を巡るモメンタムの鈍化――の3点を挙げた。
ビットコインはこれまで「デジタルゴールド」と位置付けられてきたが、今年は金との相関が大きく弱まったという。金は中央銀行の買い入れや安全資産需要を追い風に2025年に入って60%超上昇した一方、ビットコインはここ数カ月にわたり下落が続き、主要資産と比べても見劣りする展開となっている。
さらに、ビットコインは2025年10月の高値から40%超下落した。新型コロナ禍前後を通じても異例といえる連続安の流れにあるとみている。
最も直接的な下押し要因として挙げたのが機関投資家の売りだ。Deutsche Bankによると、米国のビットコイン現物ETFは昨年10月以降、流出基調が続いており、2025年11月には70億ドル超が流出した。昨年12月にも約20億ドル、今年1月にも30億ドル超の流出が確認されたという。
機関投資家の比率が低下すると市場の出来高が薄くなり、値動きが不安定になりやすい。投資家心理の悪化もそれを裏付けている。暗号資産の恐怖・強欲指数は「極端な恐怖」の水準に戻り、同行の独自調査では、米消費者の暗号資産保有率が2025年半ばの17%から足元では12%前後まで低下した。
同行は、ビットコインが従来の相場の拠り所から徐々に離れている点も強調した。金との乖離拡大に加え、株式市場との相関も1桁台〜10%台半ばまで低下したという。過去のマクロ要因による急落局面ではテクノロジー株と歩調を合わせる場面が多かったが、足元ではそうした連動が弱まり、単独で動く傾向が強まっていると評価した。
3つ目の悪材料として、規制の不透明感も挙げた。「CLARITY法案」を巡っては、ステーブルコイン条項などを巡る見解の相違から議会での審議が停滞し、流動性の改善やボラティリティ安定化への期待が後退したとしている。その結果、ビットコインの30日ボラティリティは再び40%を上回る水準に上昇したと指摘した。
一方で、今回の下落を過度に悲観すべきではないとも付け加えた。調整後もビットコインは2023年初比で約370%高い水準を維持しており、上昇局面で積み上がった投機的プレミアムが相応に大きかったことを示しているという。
Citiも、ビットコインはETFのコスト水準を下回って推移していると指摘した。ETFへの資金流入の鈍化に加え、逆風要因が積み上がるなか、相場は選挙前に形成した下値圏に近づいているとの見方を示している。