米財務長官のスコット・ベッセント氏は2月6日、暗号資産の規制整備には市場構造法案「CLARITY法案」の成立が不可欠だとの認識を示した。法案を巡ってはCoinbaseが支持を撤回したほか、ステーブルコインへの利息付与を巡って銀行業界との対立も強まっている。
ブロックチェーンメディアCoinpostによると、ベッセント氏は上院銀行委員会の公聴会で「CLARITY法案が可決されなければ、米国で暗号資産を適切に規制することはできない」と述べた。そのうえで、「業界内には規制の空白を望む向きもあるが、これは非常に優れた法案だ」と強調し、「CLARITY法案を望まない市場参加者はエルサルバドルへ行くべきだ」と踏み込んだ発言もした。
こうした発言の背景には、Coinbaseが数週間前に同法案への支持を突如撤回し、上院銀行委員会で予定されていた重要な採決が見送られた経緯がある。当時、Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは「実効性のない法案なら、ない方がましだ」と主張。これに対しホワイトハウスは、「包括的な規制枠組みなしに恒久的に運営できると考えるのは幻想だ」と厳しく批判していた。
Coinbaseはその後、法案交渉に復帰したものの、ステーブルコイン保有者への利息付与を認めるべきだとの立場は維持している。一方、銀行業界は、とりわけ地方銀行を中心に、預金流出を招いて米国の銀行システムを不安定化させかねないとして反発している。
ベッセント氏も「私は中小銀行を支持している。預金の不安定化は望ましくない」と述べたうえで、「安定した預金基盤が、地域社会や農業、中小企業、不動産向け融資を支えている」と指摘した。
同日開かれた別の公聴会では、民主党のマーク・ワーナー上院議員が法案審議の停滞について「暗号資産の地獄にいるような気分だ」と不満を表明した。「暗号資産はすでに定着しており、必要なのは明確なルールだけだ」とする一方、「大きな抜け穴を残したり、現在の執行権限や訴追権限を弱めたりする制度にしてはならない」と述べた。
同じく民主党のアンジェラ・オルソブルックス上院議員は、「イノベーションと地方銀行の双方を守る超党派の妥協案はまとめられるはずだ」と語った。
一方、上院農業委員会は先月、民主党の支持がないまま、商品先物取引委員会(CFTC)による監督法案を可決した。上院銀行委員会は当初、1月中に法案修正と採決に向けた公聴会を開く予定だったが、Coinbaseがステーブルコインへの利息付与などを理由に支持を撤回したため、会合は延期された。公聴会の再開時期は現時点で決まっていない。
市場構造法案を巡る争点は、ステーブルコインへの利息付与の是非にも広がっている。金融業界と暗号資産業界の綱引きは当面続く公算が大きく、上院での審議再開と妥協点の形成が今後の立法の焦点となりそうだ。