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AIショッピング市場をにらみ、小売大手、AI企業、決済プラットフォームの提携が加速している。焦点の1つはAmazonへの対抗で、競合関係にある企業同士でも連携に踏み切る動きが広がってきた。

とりわけ目立つのは、Amazon対抗を軸にした異例の提携網の広がりだ。従来は競争関係にあった企業も、AIショッピングで主導権を握るため、個別分野では協業を選ぶケースが増えている。

The Informationによると、Walmart、Target、EtsyはこのほどGoogleと提携した。GeminiやAIモード検索を通じた商品販売に対応し、AI経由の購買導線を広げる。

Walmartはすでに広告事業を大きく育てており、直近会計年度の広告売上高は40億ドル超に達した。TargetとEtsyも自社サイトでスポンサープロダクト枠を販売している。こうした動きについて、市場ではAIショッピングを巡るAmazon包囲の一環との見方が出ている。

3社はOpenAIのChatGPT経由の販売にも対応する。Walmartでは、利用者がChatGPTで食料品や日用品を検索し、Walmartアカウントを連携したうえで購入ボタンを押せば、そのまま決済できる。対象は生鮮食品を除く大半の商品で、サードパーティー出品の商品も含まれる。

一方、OpenAIは最近、ChatGPT内で広告のテストを始めており、将来的には小売企業と広告分野で競合する可能性もある。ただ、足元ではこうした競合の芽は提携拡大の流れを妨げていない。

MoffettNathansonのECアナリスト、マイケル・モートン氏は「Amazonの支配力が強まるなか、これまで見られなかったパートナーシップが生まれている。Amazonに対抗するための、ほぼ唯一の機会のように見える」と述べた。

オンラインショップ構築・運営向けソフトウェアと決済サービスを手がけるShopifyは、Amazon、Target、Walmart、Etsyといったマーケットプレイス運営企業とは一定の距離を保ちながら、GoogleやOpenAIなどAI企業との連携を積極化している。

背景には明確な利害がある。Shopifyは、自社プラットフォームを利用する販売事業者がChatGPTやGemini経由で商品を販売した場合、決済額の一部を取り込めるためだ。

AIショッピングの初期段階で主導権確保を狙う決済プラットフォーム各社の動きも活発だ。PayPalとStripeは、テック企業や小売企業との提携を相次いで拡大している。PayPalはAmazonを除くほぼすべての主要小売企業と主要AI企業を相手に、AIショッピング分野で協業を進めているという。

PayPalは2025年末、OpenAIと提携し、ChatGPT内の買い物を支えるリアルタイム決済機能を提供すると発表した。GoogleともAIショッピング分野で複数年契約の協業を打ち出している。AI検索スタートアップのPerplexityとも連携し、チャットボット内の決済機能を提供する。米国の利用者はPerplexity上で旅行予約、商品購入、コンサートチケット購入を直接行え、決済はPayPalまたはVenmoでワンクリック処理できる。

現時点では、AIサービスと決済事業者の提携は相互補完の関係にある。AIサービス側には販売する商品群が必要だが、短期間で独自の販売事業者ネットワークを構築するのは容易ではないためだ。

もっとも、こうした連携が長く続くとは限らない。The Informationは、AIサービス事業者が当初は決済会社の力を借りるとしても、時間の経過とともに小売企業との関係を自前で築き、デジタルウォレットなど決済機能を強化する可能性があると報じた。その場合、決済処理会社が販売事業者の売上から得る取り分は縮小しかねない。

ShopifyとAI企業の協力にも同様のリスクがある。Shopifyでは決済事業の売上高がソフトウェアのサブスクリプション収入を上回る一方、収益の一部を決済処理会社に支払う必要があり、利幅は相対的に低い。さらに長期的に従来型の小売サイトの重要性が低下すれば、オンラインショップ向けソフトウェアを販売する同社の事業にも逆風となる可能性がある。

こうしたなか、AIショッピング市場で「共通の敵」とも映るAmazonも、提携構図を左右する存在として存在感を強めている。

Amazonは従来、外部との協業よりも、買い物に必要な機能をできる限り自社内で完結させる戦略をとってきた。ただ、現在はOpenAIへの大規模投資を含む大型取引を協議中とされ、そのなかにショッピング分野での協業が含まれる可能性も指摘されている。巨大な顧客基盤を持つAmazonとOpenAIの連携が実現すれば、Amazon対抗を前提に組まれてきた現在の提携構図を揺るがす可能性があり、今後の動向が注目される。

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