Kakaoは、カカオトーク全体で機能アップデートを続けており、ユーザーの滞在時間と利用量の拡大に力を入れている。柱は、AI機能の導入によって会話のきっかけを増やし、日常利用の利便性を高めることと、オープンチャットをテーマ中心のスレッド型に再編することの2つだ。
狙いは、カカオトークを単なるメッセージアプリから、体験とコミュニティを備えたプラットフォームへと進化させることにある。ただ、機能拡張が進むほど、UIの複雑化や利用者の負担増も避けられず、拡張スピードに見合う使いやすさを維持できるかが焦点になっている。
◆娯楽機能からAIエージェントへ
KakaoのAI戦略は、生産性ツールよりも日常的に使える娯楽機能に軸足を置く。代表例が、チャットタブ上部の「ChatGPT for Kakao」で提供する「自分だけのチョルディ」だ。セルフィー1枚でキャラクターを生成でき、別アプリをインストールすることなく結果を得られるようにすることで、利用のハードルを下げた。
自社AIモデルを適用した「カナナテンプレート」は、静止画を2〜3秒の動画に変換する機能だ。会話の文脈をより豊かにし、「思い出復元所」や「ライブプロフィール」では、写真の人物を笑顔にしたり首を動かしたりすることで、ユーザー同士の感情的なつながりを強め、会話の活性化につなげる。
最近アップデートしたAIエージェント「カカオツールズ」は、AIを日常密着型のツールへ広げる取り組みといえる。ChatGPTとの対話を通じて、カカオペイの送金やカカオTの配車を利用できるようにし、今後はMUSINSAやOlive Youngなど外部プラットフォームとの連携も予定する。AIを会話のきっかけ作りと、決済・予約の窓口の両方に位置付け、アプリ内での滞在時間拡大を狙う。
オープンチャットの返信機能をコメント形式に改めたのも、同じ文脈にある。特定メッセージの下に返信を束ねるスレッド方式は、参加者の多いルームで会話の流れが混線しやすいという弱点を補うものだ。参加人数の上限を最大4000人まで広げたことも含め、オープンチャットを関心ベースのコミュニティへ転換し、滞在時間の拡大を通じて広告収益の強化につなげる狙いがあるとみられる。
◆機能拡張の裏で、使い勝手低下への懸念
一方で、積極的な機能追加に伴うユーザビリティ低下を懸念する声も出ている。現状では、コメント通知がオープンチャットルーム内の表示に加え、上部の返信マーク、通常のチャットタブの計3カ所に重複して表示される構造になっている。チャットルームで内容を確認しても、ほかの領域に通知表示が残るケースがあり、煩わしさを増している。
UIの複雑化も課題だ。ショートフォーム枠やChatGPT連動タブ、別個のコメント画面などが相次いで追加され、カカオトーク本来の直感的な使いやすさが薄れたとの指摘がある。幅広い世代が使うサービスだけに、頻繁な改編や新しいコミュニケーション方式の導入は、中高年層にとって学習コストの増加につながる可能性がある。
今回のアップデートでは、滞在時間の拡大による収益性の確保と、利便性の維持をどう両立させるかが問われている。収益化を優先した機能追加が、メッセンジャーとしての直感性を損なえば、長期的には利用者の離反を招く逆効果にもなりかねない。
業界関係者は「カカオトークの頻繁なアップデートは、単なるメッセンジャーの枠を超え、ユーザーの日常に占める存在感を高めるためのプラットフォーム戦略だ」と指摘。その上で「AI機能とコミュニティ構造をどこまで直感的に統合できるかが、今後のビジネスプラットフォームとしての成否を左右する」と述べた。