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欧州の電気自動車(EV)市場で、中国BYDの存在感拡大はもはや珍しくない。電池技術を武器に、車両性能とコスト競争力を両立させ、販売順位を押し上げている。その中核にあるのが、電池セルを車体構造に直接組み込む「セル・トゥ・ボディ(Cell-To-Body)」技術だ。

この分野では、スウェーデンのVolvoも動きを強めている。現地時間3日、EV専門メディアのCleanTechnicaが報じた。

セル・トゥ・ボディは、電池セルを従来のバッテリーパックに収めるのではなく、車両のシャシーに直接統合する構造を指す。車両の軽量化と室内空間の確保を両立しやすく、製造工程の簡素化によるコスト低減も見込める。

Teslaは2020年の「Battery Day」でこの概念を打ち出したが、実用化ではBYDが先行しているとみられる。BYDはこの構造によって、エネルギー密度と車体剛性の両立を図り、大量生産にもこぎ着けたという。

学術分野でも関連研究は進む。スウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームは2007年から、電池を構造材として活用する技術を研究してきた。2021年には「massless battery」の概念を示し、電池パックの外装部材とセル自体に構造的な剛性を持たせることで、車両の重量やサイズ、コストを同時に抑えるアプローチを打ち出した。

その後の研究では、アルミ箔の代替として炭素繊維を電極の荷重支持材に用いる案も提示した。研究チームによると、炭素繊維は正極で補強材、集電体、活物質として機能し、負極ではリチウムを堆積できる構造基盤にもなるという。

これにより、剛性とエネルギー密度を同時に高め、より高速な充電サイクルの実現にもつながるとみている。研究は政府機関と「Wallenberg Initiative Materials Science for Sustainability(WISE)」の支援を受けて続いている。

完成車メーカーでは、VolvoがBYDと並びセル・トゥ・ボディの実用化を進める有力企業として注目される。Volvoは1月19日に公開した次世代電動SUV「EX60」で、最大810kmの航続距離と超急速充電を訴求した。

EX60は400kW級の急速充電に対応し、10分で約340km走行分を充電できるという。セル・トゥ・ボディ構造とメガキャスティング工法を組み合わせ、エネルギー効率を高めたとしている。VolvoはEX60を「EV市場のゲームチェンジャー」と位置付け、航続距離と充電を巡るユーザー不安の同時解消を狙う考えを示した。

一方、セル・トゥ・ボディの構想をいち早く示したTeslaは、足元の電池技術で明確な進展を打ち出せていない。2020年の初回Battery Day以降、関連するアップデートはほぼ途絶えており、Cybertruckの発売遅延やModel S・Xの生産終了をめぐる観測も重なって、電池戦略の方向性は見えにくくなっている。

業界では、BYDとVolvoがセル・トゥ・ボディの実用化をリードする一方、Teslaが次世代電池競争で後れを取る可能性を指摘する声も出ている。

EVの競争軸が単なる電池容量から、車両構造や製造方式の革新へ移る中、セル・トゥ・ボディをどの企業が最も早く、安定的に量産へつなげるかが、今後の市場勢力図を左右する重要な要素になりそうだ。

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