Hondaの新型電動バイク特許は、高度な装備よりも簡素化が電動化の現実解になり得ることを示している。写真=AMCN

電動バイク市場では、高性能で高価格なモデルよりも、小型で簡素な普及価格帯モデルに成長余地があるとの見方が強まっている。そうした流れを映す事例として、Hondaが出願した新たな電動バイク特許が注目を集めている。

AMCNのベン・パービス(Ben Purvis)が確認したこの特許は、通勤用バイクが主要な移動手段となっているインドやアフリカの一部地域など、価格感応度の高い市場を念頭に置いた設計とみられる。

3日付けのEVメディア「エレクトリック」によると、特許に示された車両は、外観も構造も極めてオーソドックスだ。アルミ製フレームや先進的な電子装備は採らず、製造コストを抑えやすく、耐久性にも実績がある鋼製フレームを採用した。

クラシックなツインリアショック、ケーブル式のドラムブレーキ、最小限に絞った車体構成も特徴で、小排気量の内燃機関を積む通勤用バイクを思わせる仕立てとなっている。

一方、差別化の軸は駆動系にある。通常は小型の空冷単気筒エンジンを収める位置に小型電動モーターを配置し、燃料タンク部には着脱式バッテリー2基を搭載した。

この構成は、以前公開された「Honda Shine 100」ベースの電動バイク特許と近い。ただ、バッテリーの搭載方法には明確な違いがある。

今回の特許では、バッテリーをフレーム内に固定せず、車体左右の金属製ケージに収める構造を採用した。ケージは前方のヒンジで開閉し、バッテリーを外側に振り出すように取り外せる。装着後にケージを閉じると、バッテリーはタンク形状のカットアウトに沿って収まり、しっかり固定される仕組みだ。

盗難対策も簡素にまとめた。タンク上部の施錠式フラップ内に手動ラッチを隠し、鍵がなければバッテリーケージを開けられないようにしている。

始動方式は従来型のキー操作を維持した。メーター表示も、速度やバッテリー残量など必要最小限の情報に絞っている。

充電方式もシンプルさを徹底した。車載充電器や複雑な接続機構は用いず、バッテリーを取り外して屋内で充電し、その後は柔軟なケーブルで再接続する方式を前提としている。電力インフラが十分でない地域での使い勝手を意識した設計とみられる。

注目されるのは、Hondaが保有する独自の交換式バッテリー規格を今回の設計では使っていない点だ。薄型のバッテリー形状と簡素な構造を優先した結果とみられ、最近公開された固定式バッテリーモデルと同様、コスト削減を最優先した戦略と受け止められている。

Hondaは、バッテリーの化学組成や航続距離、出力といった具体的な性能値は明らかにしていない。ただ、特許全体からうかがえる方向性は明確だ。小型ガソリンエンジン車より安価な電動駆動系の実現を目指し、電動バイクへの参入障壁を下げる狙いがあるとみられる。

この特許がそのまま量産モデルに結びつくかは不透明だが、設計の完成度は高く、今後の製品化を見据えた事前段階にある可能性が高い。電動バイクの普及には、高度化を重ねるよりも、簡素化と低価格化が現実解になる可能性を示す事例といえそうだ。

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