写真=3日、ソウル・プレスセンターで開かれた「2026大韓空間情報学会 産学協力フォーラム」で発表するチョン・ジンド氏(韓国教員大学教授)

GoogleとAppleによる高精度地図データの海外搬出要請を巡り、大韓空間情報学会は3日、搬出を認めた場合の国内産業への影響について、今後10年間の累計コストが最大197兆3800億ウォンに達するとの試算を公表した。学界と業界からは、容認に先立ち、海外事業者と国内事業者の公正な競争環境を整えるべきだとの声が相次いだ。

同学会は同日、ソウルのプレスセンターで「高精度地図データの海外搬出が国内産業に与える経済的影響」をテーマにした分析フォーラムを開いた。

■10年累計で最大197兆3800億ウォン 「前提整備なしの容認は困難」

チョン・ジンド氏(韓国教員大学教授)は、計算可能一般均衡(CGE)モデルに基づく分析結果として、高精度地図データを海外搬出した場合の2026〜2035年の10年間累計コストが、楽観シナリオで150兆6800億ウォン、悲観シナリオで197兆3800億ウォンに上ると説明した。

年平均のコストは15兆〜19兆ウォンで、このうち産業被害が13兆〜16兆ウォンと最も大きな比重を占めるとした。さらに、総コストには含まれていないロイヤルティ流出額も、年平均で6兆3000億〜14兆2500億ウォンに達すると分析した。

こうしたコストは時間の経過とともに累積し、増加ペースが速まるのが特徴だという。チョン氏は、搬出直後は現状維持の場合と比べた差は大きくないものの、2029年前後から国内産業への打撃と海外への流出コストが急増し、2032年以降は構造的なコストが一段と膨らむと述べた。

海外プラットフォームへの依存やロックイン効果に伴う、不可逆的な構造コストも主要なリスクとして挙げた。回復が難しい構造的損失が時間とともに積み上がって固定化し、イノベーション能力やエコシステム参入指数も2029〜2031年ごろから低下に転じ、差が急速に広がると警告した。

産業別では、空間情報・地図分野とデジタルプラットフォーム分野に被害が集中する見通しだとした。両分野では2029〜2030年以降、縮小幅が拡大し、構造的な弱体化へ波及する可能性があると分析した。

チョン氏は政策対応として、(1)相互運用性の確保(2)プラットフォーム公正競争の制度化(3)研究開発の強化と標準の先取り(4)産業エコシステムの改善(5)リスク管理ガバナンスの構築――の5項目を提示した。

また、地図データ搬出に伴うコストを相殺するには、楽観シナリオで年21兆ウォン、中立シナリオで年28兆ウォン、悲観シナリオで年33兆ウォンの便益が必要になると指摘した。長期的な経済リスクを抑えるには、国内投資や雇用、技術の内製化、国内での代替供給機能の確保が必要だと強調した。

その上で、高精度地図の海外搬出は、時間の経過とともに取り返しのつかない構造コストとして跳ね返る可能性があるとして、上記5項目の準備が十分整った後に認めるべきだと結論付けた。

■学界・業界「国内サーバ設置など公正競争の条件整備を」

シン・ドンビン氏(安養大学教授)が座長を務めた総合討論では、公正な競争環境の確保が最大の論点となった。討論参加者は、Googleが国内サーバ設置要請を受け入れていない点を、代表的な不公正競争の懸念事例として挙げた。

キム・デジョン氏(国土研究院・上級研究委員)は、空間情報は人々の生活や安全に直結するもので、交渉対象として扱うべではないと指摘した。プラットフォームは時間がたつほどロックイン効果が強まり、最終的には従属を招きかねないとし、投入データに空間情報の価値が適切に反映されれば、経済被害は今回の分析結果を大きく上回る可能性があると述べた。

キム・ジュワン氏(韓国電子通信研究院・責任研究員)は、縮尺1対5000の地図について、国内の細部まで含んだ高品質な学習データだと説明した。これがGoogleの空間情報ファウンデーションモデルに学習されれば、国内全域を詳細に把握するAIが生まれ得るとの見方を示した。

ユン・ジュンヒ氏(韓国建設技術研究院・本部長)は、高精度地図は単なるデータではなく国家インフラだと強調した。災害や安全分野で地図の誤りや更新の遅れが生じれば、事故コストや責任問題に直結するため、どこまで海外プラットフォームに委ねるのかは国家安全保障の問題だと述べた。

パク・グァンモク氏(Egis代表)は海外事例として、台湾が国内データセンターの設置や国家危機時のサーバ統制を条件にしている点や、インドが2008年のムンバイ同時多発テロで実行犯にGoogle地図が利用されたことを受け、2022年までストリートビュー撮影を禁止していた点を紹介した。

パク・チャンフン氏(Wavers代表)は、中小企業は法的対応力が弱く、セキュリティ問題に伴うリスクが発生すれば、直ちに事業継続が難しくなりかねないと懸念を示した。自己検閲が重なれば、最終的にはサービス断念につながる可能性もあると指摘した。

アン・ジョンウク氏(大韓空間情報学会会長)は、今回の研究結果を学会として取りまとめ、国土交通部に政策提言として提出する方針を明らかにした。

討論には、シン・ドンビン氏(安養大学教授、座長)、チョン・ジンド氏(韓国教員大学教授)のほか、キム・デジョン氏(国土研究院・上級研究委員)、キム・ジュワン氏(韓国電子通信研究院・責任研究員)、ユン・ジュンヒ氏(韓国建設技術研究院・本部長)、パク・グァンモク氏(Egis代表)、パク・チャンフン氏(Wavers代表)、ファン・ジョンレ氏(Allforland常務)らが参加した。

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