老後資金を巡る「2000万円不足」への懸念が再び注目を集めるなか、インフレと低金利を背景に、ビットコインを資産防衛の選択肢として捉える見方が広がっている。分散投資の一環として組み入れる動きに加え、保有分を貸し出して利息収入を得る運用にも関心が集まっている。
ブロックチェーンメディアのCoinPostは1月30日(現地時間)、「貯蓄だけでは老後不安に対応しにくい時代になった」として、ビットコインを活用した分散投資や、保有資産から利息収入を得る運用手法を紹介した。
同メディアは、2019年の金融庁報告書に触れ、平均的な高齢夫婦の無職世帯が年金収入のみで暮らした場合、毎月およそ5万5000円の赤字が生じ、30年間で約2000万円が不足する可能性があるとする試算を取り上げた。
もっとも、この試算はあくまで平均的な世帯を前提とした概算で、居住地域や住居形態、医療費、介護費などによって不足額は大きく変動し得るとした。
とりわけ課題として挙げられているのが、インフレや円安に伴う購買力低下が十分に織り込まれていない点だ。年2〜3%程度の物価上昇が長期化した場合、生活費負担が一段と重くなり、必要資金が4000万円規模まで膨らむ可能性もあると説明している。
こうした状況を受け、「毎月着実に貯蓄すれば老後資金を準備できる」との従来の考え方だけでは不十分だとの見方が強まっている。
CoinPostは、従来型の資産配分にも限界があると指摘する。現金、株式、債券、外貨、金で構成するポートフォリオは、インフレや金利上昇局面では分散効果が薄れ、資産価格が同時に下落するリスクが高まる可能性があるという。
また、現金性資産は実質価値が目減りしやすく、金は利息を生まないため、複利効果を得にくい点も課題として挙げた。
そのうえで、ビットコインについては「デジタルゴールド」として代替資産の役割を果たし得るとの見方を示した。2024年に米国でビットコイン現物ETFが承認されたことで、年金基金や大学基金なども間接的に投資しやすくなり、資産運用会社の間でもポートフォリオ分散の手段として位置付ける動きが強まったとしている。
あわせて、保有する暗号資産を一定期間預け、利息を受け取る「暗号資産レンディング」も紹介した。ビットコインを売却せずに利息収入を得られるため、長期保有者にとっては選択肢となり得る。一方で、貸し出し期間中は中途解約に制限がかかる場合があるほか、事業者や取引所に関するリスクも伴うため、利用条件やリスクの確認が必要だとした。
論点は、老後資金を「貯蓄」中心で考えるのではなく、インフレ時代に見合った資産防衛策をどう設計するかにある。ビットコインを含む分散投資や運用は一つの選択肢になり得るが、価格変動やサービス条件などの現実的なリスクを踏まえ、慎重に判断する必要がある。