KAISTは2月1日、近赤外OLEDを組み込んだ帽子型ウェアラブルの脱毛症光治療デバイスを開発したと発表した。繊維状の柔軟な基材を用いた構造で頭皮に密着し、頭部全体を均一に照射できるのが特徴という。
今回の研究は、チェ・ギョンチョル電気・電子工学科教授の研究チームが、ユン・チー香港科技大学の研究チームと共同で進めた。開発したのは、帽子型のウェアラブルプラットフォームに近赤外OLED光源を組み込んだ非侵襲型の脱毛症治療技術。非侵襲治療は、皮膚を切開したり身体に直接損傷を与えたりしない治療法を指す。
従来の脱毛症治療向け光デバイスは、硬くて重いヘルメット型が主流で、利用シーンが屋内に限られやすかった。加えて、LEDやレーザーによる点光源方式が中心だったため、頭皮全体を均一に照射するには限界があった。
これに対し研究チームは、広い面を均一に発光できる面発光型OLEDを脱毛症治療に応用した。帽子の内側に繊維状の柔軟な近赤外OLEDを一体化し、頭皮の曲面に沿って自然に密着するよう設計することで、頭皮全体をむらなく照射できるようにした。
研究では、脱毛進行の主要因の一つとされる毛包細胞の老化抑制にも着目した。KAISTは、今回の成果について「装着型デバイスを実現しただけでなく、脱毛症治療に最適な光の波長を精密に設計し、光治療の効果を高めた点に意義がある」と説明している。
研究チームは、毛髪の成長を制御する中核細胞とされる毛乳頭細胞の活性化に適した730~740nm帯の近赤外光のみを選択的に照射するカスタムOLEDを実装した。細胞老化の評価では、近赤外OLEDの照射条件で、対照群に比べ約92%の細胞老化抑制効果が確認されたとしている。
チェ・ギョンチョル教授は「OLEDは薄く柔軟で、頭皮の曲面に密着できるため、頭皮全体を均一に照射できる点が強みだ」とコメントした。そのうえで「今後は前臨床研究を通じて安全性と有効性を検証し、実際の治療への応用可能性を段階的に確認していく」と述べた。
今回の研究には、チョ・ウネKAIST電気・電子工学科博士が筆頭著者として参加した。研究成果は国際学術誌「Nature Communications」に1月10日付でオンライン版掲載された。