Bitcoinが週末取引で急落し、節目の8万ドルを割り込んだ。1日夜には一時7万6000ドル台まで下げ、2025年3月以来の安値を付けた。主要暗号資産の下落に加え、金・銀相場も大きく崩れ、米国の規制法案を巡る業界内の対立も相場の不安材料として意識されている。
Bitcoinの下落率は7%を超え、この過程で時価総額は約1000億ドル(約15兆円)縮小した。BitcoinやEthereumなど主要銘柄がそろって売られ、レバレッジをかけたロングポジションでは14億ドル超(約2100億円)の強制清算が発生した。
貴金属市場も急変した。金・銀市場では48時間で約7兆ドル(約1050兆円)相当の市場価値が失われたとされ、世界の金融市場に波紋が広がった。比較的値動きが安定していた金は2日で8%、銀は30%超下落した。
今回の調整の背景としては、ドナルド・トランプ米大統領がジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任にケビン・ウォッシュ元FRB理事を指名したことを受け、金融政策の先行きに対する不透明感が強まった点が挙げられる。市場では利上げの可能性やドル安進行への警戒が交錯し、投資家心理を冷やしたとの見方が出ている。
こうした局面で、Bitcoinの位置付けを改めて問う声も出ている。ドル価値の低下局面では金が買われやすい一方、Bitcoinは価値保存資産としての評価を十分に得られていないとの指摘がある。
Fundstratのトム・リー氏は、暗号資産市場の弱さについて、資金が貴金属市場に集中していることが一因だと分析した。金と銀の過熱感が後退し調整局面に入れば、滞留資金が再びBitcoinやEthereumに向かう可能性があるとみている。足元の下落は構造的な問題というより、資金循環の一環だという見立てだ。
一方、ARK Investのキャシー・ウッド氏は、金価格が1980年代のバブル期に近い水準まで達しており、反落リスクに注意が必要だと警鐘を鳴らした。市場が金に偏り過ぎているとして、割高な資産からBitcoinのような革新資産へ資金が移る余地があるとの見方を示した。
マクロ環境の悪化も重荷となっている。米連邦政府のシャットダウン(一時的な政府閉鎖)リスクが高まり、市場全体でリスク回避姿勢が強まる中、Bitcoinもその影響を免れていない。投資家の関心は、混乱局面でBitcoinが逃避先として機能するのか、それとも他のリスク資産と同様に売られるのかに集まっている。
市場ではXRPの動向にも注目が集まっている。Bitcoinの軟調な値動きとは対照的に、XRPは決済量が前年比138%増となり、XRPレジャー(XRPL)上の決済処理量は過去最高を更新したという。投機主導ではなく、実際の送金・決済需要の拡大を示す指標として受け止められている。
XRPについては、短期的な値幅取りの対象としてではなく、国際送金や流動性供給といった実需を持つ資産として評価すべきだとの見方も出ている。Bitcoinが「デジタルゴールド」としての性格を持つのに対し、XRPは送金インフラに近い役割を担うとの整理だ。
価格が横ばい圏にとどまる局面でも、ネットワーク利用が拡大していれば将来の評価見直しにつながる可能性があるとの指摘もある。市場では、伝統的な預金・株式商品と暗号資産の収益機会を比較し、インフレ局面ではXRPのような高リスク・高成長資産への関心が高まりやすいとの議論も広がっている。
このほか、個人投資家の間では「経済的自由」の実現に必要なXRP保有量を試算する動きもみられる。将来の価格上昇を前提に、どの程度の保有で退職後の生活設計が可能になるかを検討する内容で、長期保有の目安として受け止める向きがある。
イーロン・マスク氏のAI「Grok」が、他の銘柄と比べてXRPの2026年価格予測について明確な回答を避けたことも話題となった。市場では、SEC訴訟を巡る不透明感が影響しているのか、それともAIでも織り込みにくい変数があるのかといった見方が出ている。
アルトコイン市場では選別色も強まっている。Bitcoinが伸び悩む一方で、Ethereumについては2026年までに現在水準から4倍超上昇する可能性があるとの分析が浮上した。現物ETF承認後の機関資金流入や、レイヤー2ソリューションの活性化が追い風になるとの見方だ。スマートコントラクト基盤としてのファンダメンタルズは依然堅調だと評価されている。
ミームコイン市場でも再編が進む。DogecoinやShiba Inuを中心に、市場は単なる話題性から、決済手段の導入や独自エコシステムの構築といった実体を伴うプロジェクトへと評価軸が移りつつある。今後は主要銘柄への集中が一段と進むとの見通しが出ている。
規制面では、米国の「クラリティ法案」を巡る業界内の温度差が鮮明になっている。暗号資産が証券に当たるかどうかの基準を明確化する法案で、リップルは訴訟リスクの低減や事業拡大につながるとして歓迎する一方、Coinbaseは規制強化による上場廃止リスクなどを警戒し、反対姿勢を示しているという。
トランプ政権の発足を受け、停滞していた同法案の議論が再び動き出したとの見方もある。今後は伝統的な銀行業界と暗号資産業界の双方が法案の詳細を巡ってロビー活動を強める可能性があり、法案の行方が米暗号資産市場の競争環境を左右する分岐点になるとみられている。
こうした急落局面でも、ARK Investは逆張りの姿勢を維持している。キャシー・ウッド氏率いる同社は、Coinbaseなど暗号資産関連株を買い増したという。市場が恐怖に傾く局面こそ投資機会とみる同社の運用方針が改めて示された格好で、機関投資家の一部には相場反発を見込む動きも残っている。