Bitcoinが現在価格から10倍上昇しても、供給上限を前提にした時価総額では金の規模に届かない――。こうした単純試算が改めて注目を集めている。現時点の価格と供給量に基づく比較にすぎないが、価値保存手段としての位置付けや相場サイクルを巡る見方は分かれている。
ブロックチェーン系メディアのThe Crypto Basicは1月29日(現地時間)、Bitcoinと金の市場規模を「現在価格」と「供給量」を基準に比較した結果、Bitcoinが10倍に上昇しても金の時価総額には届かないと報じた。
Bitcoinが8万8815ドルで取引されている場合、最大供給量2100万枚を前提とした時価総額は約1兆8500億ドルとなる。価格が10倍の88万1850ドルまで上昇しても、時価総額は約18兆5000億ドルにとどまる計算だ。
一方、金は1オンス当たり5570ドルで取引されており、直近高値の5602ドル近辺で推移している。これを基準に世界で流通する金の価値を換算すると、時価総額は約38兆8000億ドルと推定される。Bitcoinが10倍になっても、その規模は金の半分に届かないことになる。
今回の比較は、将来予測ではなく現時点のデータに基づく単純計算だ。ただ、市場では危機局面でBitcoinと金が果たす役割を巡る議論が再燃している。経済学者のピーター・シフは、金と銀の上昇は金融システムへの不安を映していると主張し、暗号資産は安全資産とは見なしにくいとの立場を改めて示した。
シフは、米国債務の拡大や通貨安の局面で恩恵を受けるのは貴金属だとの見方を維持している。足元の状況を2007年と比較し、当時のように金融危機の前兆が現れる局面では、Bitcoinは資金の逃避先になりにくいとも指摘してきた。
これに対し、業界の一部では金との単純比較よりも、Bitcoin市場の構造変化を重視する見方が出ている。Binance共同創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)は、Bitcoinが従来の4年サイクルから外れる可能性に言及し、2026年から長期の上昇局面に入る可能性があるとの見方を示した。LVRGリサーチのニック・ラックも、2025年に入って半減期を軸にしたサイクルの影響力が弱まっていると評価し、その背景に機関投資家の継続的な参入拡大を挙げた。
機関投資家サイドの見通しも一致していない。資産運用会社Grayscaleは、2026年上半期にBitcoinが過去最高値を更新する可能性があるとし、マクロ需要や通貨価値下落への警戒、米国の規制環境の変化をその根拠に挙げた。Standard Charteredも、足元の市場は従来の4年サイクル論だけでは説明しにくいとし、2026年末のBitcoin価格として15万ドルを示したことがある。
今回の数値比較は、Bitcoinの相対的な規模感を示す材料の一つといえる。長期的な位置付けを巡る解釈はなお分かれるが、現時点の価格と供給制約を前提にすれば、金との時価総額格差が依然として大きい点は明らかだ。