韓国のゲーム業界で、主力収益源とされてきた確率型アイテムが、規制強化によって事業リスクにもなりつつある。政府と国会は制裁の実効性を高める方向で制度見直しを進めており、確率型アイテム依存のビジネスモデルからの転換を迫っている。
業界が注目しているのは、規制の軸足が「指導」から「制裁」へ移りつつある点だ。1月4日までに業界関係者の間で最大の焦点となっているのは、課徴金制度の導入とその水準である。
最大野党「共に民主党」のキム・ソンフェ議員が代表発議した「ゲーム産業振興に関する法律」改正案(2025年12月23日発議)では、確率情報の虚偽表示や未表示があった場合、ゲーム会社に対して売上高の3%または最大10億ウォン(約1億1000万円)の課徴金を科すことを柱に据えた。
現行法では、違反があった場合にまず是正命令を出し、これに従わなかった場合に限って、2年以下の懲役または2000万ウォン(約220万円)以下の罰金を科す仕組みとなっている。このため、確率操作で得られる収益に比べて処分が軽く、法令順守を促す効果が乏しいとの指摘が続いてきた。
実際、最近も一部のゲーム会社で確率情報を巡る違反が判明したが、処分は数十万ウォン程度の過料にとどまり、実効性を疑問視する声が出ていたという。
今回の改正案は、こうした「軽い処分」を見直す狙いがある。イ・ジェミョン大統領は先月16日の文化体育観光部の業務報告で、現行規制の複雑さに言及したうえで、違反の根本要因である「収益」を直接狙う必要があると強調した。
確率操作によって得た経済的利益を速やかに回収し、不法行為の誘因そのものを断つ考え方だ。単純なミスであっても売上高の3%に相当する財務負担が生じ得ることから、業界では強い警告として受け止められている。
規制圧力が強まるなか、ゲーム各社はビジネスモデルの見直しを急いでいる。中心となっているのは、確率型アイテムへの依存度を下げ、非確率型商品の比重を高める動きだ。
NCsoftは新作「AION 2」で、確率型アイテムを全面的に排除し、利用者の選好が高いメンバーシップやバトルパスなどの非確率型商品を導入する方針を示した。従来の「リネージュ」型に代表される確率型中心のビジネスモデルから脱却する構えだ。
大手各社がPC・コンソール向けのパッケージゲームに力を入れているのも、同じ流れにある。Nexonの「The First Berserker: Khazan」、NEOWIZの「Lies of P」、Shift Upの「Stellar Blade」などは、確率型アイテムに依存しなくてもグローバル市場で成果を上げられる可能性を示し、事業ポートフォリオの多角化を後押ししている。
こうした動きは、世界的な規制強化の流れとも重なる。米連邦取引委員会(FTC)による対応強化の動きに加え、GoogleやAppleなどのプラットフォーム事業者も、確率情報の開示を義務付ける方向に傾いている。
一定期間内に課題を達成することで報酬を得られる「バトルパス」や、月額型商品の拡充は、規制リスクを抑えながら安定収益を確保する現実的な戦略として位置付けられている。
一方、業界では規制の趣旨には理解を示しつつも、実務面の負担を懸念する声が強い。最大の論点は「二重規制」だ。
韓国の公正取引委員会が電子商取引法に基づき、確率型アイテムを巡る欺まん行為を制裁しているなかで、ゲーム産業法の改正まで加われば、処分が過度に重複する可能性があるとの見方が出ている。
とりわけ影響が大きいとみられているのが、法務対応の余力が限られる中小のパブリッシャーだ。単一タイトルへの売上依存度が高い企業では、1回の制裁で売上高の3%を徴収されれば、経営そのものに打撃を与えかねないためだ。
また、開発会社ではないパブリッシャーが、開発側のコード上の不具合や更新漏れを個別に検証するのは現実的に難しく、契約上の責任範囲を超えるとの指摘もある。
業界関係者は「害虫を捕まえようとして家を焼くようなものだ。過度な規制は産業全体の活力をそぐ恐れがある」としたうえで、「営業利益率が3%に届かない零細企業も多い。売上高基準の課徴金は、事実上の死刑宣告に近い」と訴えた。
課徴金算定の基準となる「売上高」が当該ゲームの売上を指すのか、法人全体の売上を指すのかが曖昧な点も課題として残る。加えて、韓国内に法人を持たない海外ゲーム会社との間で規制格差、いわゆる「逆差別」が生じかねないとの懸念もある。
確率型アイテム規制の強化は、短期的には業界に大きな負担をもたらす見通しだ。ただ、業界内には、これを単なる危機ではなく、事業構造の見直しにつながる契機と受け止める見方もある。
別の業界関係者は「今回の法案は、高まる消費者目線を反映した結果だ」としたうえで、「ゲーム会社も従来型の手法を踏襲するのではなく、新たな収益モデルの定着を急がざるを得ない」と話した。
キム議員も「確率型アイテムの問題は、利用者の信頼を基盤とする市場秩序を損なう行為だ」として、持続可能な成長の必要性を強調している。韓国ゲーム業界の競争力は今後、「ポスト確率型アイテム」時代に対応した新たなビジネスモデルをどこまで構築できるかに左右されそうだ。