写真=Samsung Electro-Mechanics

DDR5メモリへの移行が進むなか、定格25Vの高電圧MLCC(積層セラミックコンデンサー)の需要が拡大する見通しだ。メモリモジュールの電源設計がDDR5で大きく変わったことに加え、AIインフラの拡大も重なり、高電圧MLCCの生産能力を持つSamsung Electro-Mechanicsには追い風となりそうだ。

業界関係者によると、DDR5への切り替えとAIインフラ投資の拡大を背景に、MLCC大手のSamsung Electro-Mechanicsは2026年に過去最高業績を更新するとの見方が出ている。証券各社は、DDR5メモリモジュールの構造変化が単なる規格更新にとどまらず、部品業界全体の需要構造を変える可能性があるとみている。

DDR4では、電力管理半導体(PMIC)はメインボード側に配置されていた。SMPS(スイッチング電源)から供給される12Vを電圧レギュレーター(VR)で1.1Vまで降圧してメモリモジュールに給電する構成だったため、MLCCの定格電圧は4〜6.3V程度で対応できた。

これに対しDDR5では、帯域幅と電力効率の向上を目的に、電源管理機能がメインボード側からメモリモジュール側へ移った。12V電源がモジュール内のVRに直接供給されるようになったことで、MLCCにはより高い耐圧が求められ、定格電圧は25V級へ引き上げられた。

メモリモジュールにPMICが搭載される設計へ変わったことで、25V級の高電圧に対応する特殊MLCCが不可欠になった。PMICの安定動作と電圧ノイズの抑制には、高容量かつ高電圧のMLCCをモジュール基板上に実装する必要があるという。

Samsung Electronicsによると、DDR5には自己補正機能を備えたODECC(オンダイ誤り訂正コード)技術が適用され、ビッグデータ環境でも1ビット誤りまで自己補正が可能だ。オンダイPMICの採用により、電力管理効率と供給安定性も高まり、電力効率はDDR4比で20%向上したとしている。データセンターでDDR4をDDR5へ置き換えた場合、年間最大1TWhの電力削減が可能だと説明した。

こうした需要に対応し、Samsung Electro-Mechanicsは0805サイズ、X6S特性、22μF、定格25VのMLCCを世界で初めて開発したとしている。同社は0805サイズと1206サイズで、定格25V・容量22μFの製品ラインアップをすでに量産しており、DDR5移行の加速に伴う需要増を取り込む構えだ。

Samsung Electro-Mechanics、2026年に売上高・営業利益とも過去最高更新の見通し

こうした技術要件の高度化は、汎用品とは異なる高付加価値市場の形成につながり、Samsung Electro-Mechanicsの収益改善に直結するとみられている。Meritz Securitiesは、2026年の同社コンポーネント事業部の売上高予想を2.3%、営業利益予想を10.6%それぞれ引き上げた。

背景には、AIサーバー向けMLCC需要の増加と採算性の改善がある。Meritz Securitiesは、AIサーバー向けMLCCでは超小型化と大容量化の両立が求められるため、Samsung Electro-MechanicsとMurataを中心とする寡占的な市場構造が維持されると分析した。

Meritz Securitiesによると、Murataは最近のインベスターデーで、AIサーバーのベースボード1台当たりのMLCC搭載数見通しを、従来の1万〜1万5000個から1万5000〜2万個へ引き上げた。これを踏まえ、AIサーバー向けMLCCの年平均成長率(CAGR)見通しも30%へ見直したという。

DDR5移行とAIインフラ拡大が同時進行することで、MLCC需要は一段と押し上げられる公算が大きい。メモリ規格の変更にとどまらず、部品業界全体で構造的な需要変化が進んでいるとの見方が広がっている。Samsung Electro-Mechanicsは、25V級高電圧MLCCの供給力とAIインフラ拡大を成長ドライバーに、2026年の過去最高更新が期待されている。

Daishin Securitiesは、2026年のSamsung Electro-Mechanicsの売上高が12兆3000億ウォンと前年比9.3%増、営業利益が1兆2000億ウォンと同31%増となり、いずれも過去最高を記録すると予測した。FC-BGAについては、グローバルのビッグテック向けAI用途の供給拡大を受け、2025年7〜9月期に基板ソリューション売上高に占める比率が50%を超え、2026年には売上高が20%増加して全体成長をけん引するとした。

Hana Securitiesは、2026年のAIサーバー出荷台数が前年比16%増となるなか、サーバーラック当たりのGPU搭載量の増加やサーバーの熱設計電力(TDP)の上昇により、MLCC需要の伸びはこれを上回ると分析した。IT向けMLCC市場では競争激化への懸念もある一方、AI関連を中心に高水準の稼働率が維持される見通しだという。

事業構成の変化による収益体質の改善も期待される。Samsung Electro-Mechanicsでは、すでに産業機器向けと車載向けが売上高の50%超を占めている。Daishin Securitiesは、産業機器向け・車載向けMLCCで日本企業に匹敵する技術力と製品ポートフォリオを構築したと分析している。

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