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証券会社が投入した総合投資口座(IMA)が、発売直後から相次いで完売するなど好調な滑り出しを見せている。銀行の定期預金を上回る年4%台の利回りに加え、実質的な元本保全の仕組みが保守的な投資家の資金を呼び込んでいるためだ。退職年金資金の移動も追い風となる中、銀行は預金流出への警戒を強めている。

金融投資業界によると、韓国投資証券が18日に発売した「韓国投資 IMA 1号」は、販売開始から4日で募集上限の1兆ウォン(約1100億円)に達し、完売した。発売初日だけで2200億ウォン(約242億円)を集めるなど、投資家の関心は高かった。

同商品は2年満期のクローズド型で、目標利回りは年4.8%水準。主要5行(KB国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリ銀行、NH農協銀行)の1年定期預金の最高金利が年2.80~3.10%であることを踏まえると、銀行預金を1ポイント超上回る期待収益となる。

22日に販売を始めたMirae Assetの「Mirae Asset IMA 1号」も、募集額950億ウォン(約105億円)を完売した。年4%の基準収益率に運用実績に応じた超過利益を上乗せする仕組みで、安定性と収益性の両立を求める投資家の需要を取り込んだとの見方が出ている。

IMAは、証券会社が実質的に元本を保全しつつ、市中金利を上回る収益を目指す実績配当型の商品だ。取り扱えるのは自己資本8兆ウォン以上の総合金融投資事業者に限られる。預金者保護法の適用対象ではないものの、証券会社の自己資本を裏付けに元本償還の安定性が高いと受け止められている。

金融業界では、IMA人気が単なる新商品のヒットにとどまらず、資産運用の主戦場が銀行から証券会社へ移る兆しになり得るとの見方も出ている。

銀行にとってもう1つの重荷となっているのが、退職年金資金の移動だ。昨年10月末に導入された退職年金の現物移管制度により、既存商品の解約なしに金融機関を切り替えられるようになり、銀行から証券会社への資金シフトが進んでいる。

金融当局によると、制度導入後、銀行からは数千億ウォンから兆ウォン規模の資金が純流出した一方、証券会社には大規模な資金が純流入した。とりわけ今年上半期に証券会社へ流入した退職年金資金は約2兆5000億ウォン(約2750億円)に達したとの集計もある。

マネームーブの最大要因は収益率だ。雇用労働部の集計では、証券会社の退職年金の平均収益率は年6.33%と、銀行の4.2%を約2ポイント上回った。直近の第3四半期時点でも、確定拠出年金(DC)の収益率は証券会社が15.96%、銀行が14.54%だった。ETFなど運用商品の選択肢が豊富な証券会社へ、年金口座を移す動きが広がった。

実際、証券会社の収益規模は銀行を脅かす水準まで拡大している。韓国投資証券の第3四半期累計の営業利益は1兆7408億ウォン(約1915億円)、当期純利益は1兆4335億ウォン(約1577億円)となった。証券業界として初めて、NH農協銀行の純利益1兆6052億ウォン(約1766億円)に迫り、一部指標では銀行を上回った。

これは、証券会社が委託売買中心の収益構造から脱し、IB(投資銀行業務)や資産運用を含む多角的な事業ポートフォリオで、銀行と対等に競争できることを示す事例と受け止められている。

一方、銀行はIMAの弱みとして、税負担と流動性の低さを前面に打ち出し、預金流出の防衛を急いでいる。IMAは満期2~3年以上のクローズド型が中心で、中途解約が難しい、あるいはできない商品が多い。これに対し、銀行は年3~4%台の金利を提示するパーキング口座を通じ、いつでも入出金できる利便性を訴求している。

税制面も無視できない。IMAの収益は満期時に一括で支払われるため、金融所得が年2000万ウォンを超えると金融所得総合課税の対象となり、最高49.5%の税率が適用される可能性がある。健康保険料の上昇など、見えにくい負担が発生し得る点も、銀行のPB(プライベートバンカー)が強調している部分だという。

銀行は今後、元本を保証しながら株価指数の上昇局面で追加収益を狙える指数連動預金(ELD)の品ぞろえを拡充する方針だ。法人顧客に対しては、給与振込や決済システムの利便性を訴え、「ロックイン(Lock-in)」効果の強化も狙う。

証券業界関係者は「IMAで確保した流動性と、退職年金で流入した長期資金をもとに、IB部門への投資を拡大する好循環が生まれている」と指摘した。その上で、「証券会社は単なる仲介業を超え、銀行と対等に競争するWM(ウェルスマネジメント)の有力プレーヤーとして定着していく」との見方を示した。

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