ウォン安・ドル高の長期化観測が強まる中、利息収入と為替差益の双方を狙えるドル建ての短期運用商品に資金が流入している。なかでもドル建てMMF ETFの収益率はウォン建て商品を大きく上回っており、待機資金の新たな受け皿として存在感を高めている。
韓国取引所によると、ドルに投資するMMF ETFの収益率はウォン建て商品のおよそ8倍に達している。代表的な商品である「KODEX 米国マネーマーケットアクティブ」は、10日時点の過去6カ月リターンが10.49%となり、韓国の短期運用型ETFで首位だった。直近1カ月のリターンも1.69%を記録した。
一方、ウォン建てMMF ETFの「SOL マネーマーケットアクティブ」や「TIGER マネーマーケットアクティブ」の直近1カ月リターンは0.18~0.22%にとどまった。過去6カ月でも1.20~1.30%台で、ドル建て商品との収益率格差は8.3倍超に広がった計算になる。
背景には、米韓の金利差に加え、為替差益の拡大がある。米国の政策金利は4.00~4.25%で、韓国の政策金利2.50%を大きく上回る。ドル建てで運用する方が、ウォン建てより高い利回りを確保しやすい構図だ。さらにウォン相場は1ドル=1500ウォン近辺まで下落基調が続いており、為替差益も収益を押し上げた。
個人投資家の資金流入も目立つ。韓国で唯一のドル建てMMF商品である「KODEX 米国マネーマーケットアクティブ」の純資産は、上場初日の5月13日に1519億ウォンだったが、10日時点では5212億ウォンに急増した。半年あまりで2.5倍超に膨らんだことになる。
同商品は、為替両替の手間なく、米国の短期資金市場にドルで直接投資するのに近い効果を得られる商品だ。為替変動も収益機会として取り込みたい投資家にとって、有力な選択肢になっているという。
ドルを活用して米国の無リスク金利指標であるSOFRの収益獲得を目指すETFも、高い収益率で人気を集めている。「RISE 米国ドルSOFR金利アクティブ(合成)」は10.09%、「PLUS 米国ドルSOFR金利アクティブ(合成)」は10.07%だった。直近1カ月のリターンはいずれも2%前後で、韓国の無リスク金利指標KOFRに連動する商品のリターン(0.22%)を約10倍上回った。
資金流入の背景は明確だ。KOSPIが調整局面で方向感を欠く展開となり、米国株式市場でも人工知能(AI)バブル論を背景に変動性が高まる中、投資先を定めきれない待機資金が安全資産とみなされるドルへ向かっている。
市場の関心は今後の為替動向に移っている。専門家は当面、ウォン安・ドル高基調が続く可能性が高いとみる一方、11日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)が重要な分岐点になるとみている。
米韓の関税交渉を巡る不透明感や、AI産業の調整を背景とする安全資産志向は、引き続きドル高を支える要因とされる。米短期金融市場の流動性逼迫シグナルとされるレポ金利も高止まりしており、ドル需要は簡単には弱まらないとの見方が出ている。
もっとも、足元での追随買いには慎重論もある。為替が心理的節目とされる1ドル=1500ウォンに接近しており、当局の介入への警戒感や利益確定売りが強まる可能性があるためだ。
NH投資証券のクォン・アミン研究員は、「過去と異なり、為替上昇期待に基づく実需のドル買いが底堅く、相場が簡単に下がる状況ではない」と指摘した。その上で、「米国が12月に利下げに踏み切り、量的引き締め(QT)を終了する、あるいはトランプ政権の関税政策に歯止めがかかるなど、対外要因の変化が確認されて初めて、意味のある為替下落局面が現れるだろう」との見方を示した。