写真=韓国科学技術情報通信部

韓国科学技術情報通信部と韓国インターネット振興院(KISA)は12月3日、エネルギー、医療、行政分野の主要システムに耐量子暗号を適用した試験導入の成果を公表した。ソウルSETECコンベンションホールで開いた「2025年度 耐量子暗号 試験転換事業 成果共有会」で明らかにした。

成果共有会では、韓国電力公社(KEPCO)の子会社であるKEPCO KDNのほか、Raonsecure、LG Uplusなどが試験導入事例を発表した。

耐量子暗号は、量子コンピュータによる解読に耐えることを想定した次世代暗号技術。現在広く使われている公開鍵暗号が素因数分解や離散対数問題を基盤とするのに対し、耐量子暗号は格子問題やハッシュ関数などをベースにする。暗号化データをあらかじめ収集し、量子コンピュータの実用化後に解読を試みる攻撃への対策技術として位置付けられる。

今回の試験導入では、エネルギー分野で約2250万戸分の電力使用情報を扱う韓国電力のスマートメーター基盤「高度計測インフラ(AMI)」に適用した。医療分野では、総合病院8カ所の病院情報システムや電子カルテと連携するデジタルヘルスケアプラットフォームが対象となった。行政分野では、年間100万人が利用する国家技術資格検定システムで耐量子暗号への移行作業を進めた。

今年進めた3分野の事業では、事業実施機関が国内外7種類の耐量子暗号アルゴリズムを活用した。国内アルゴリズムはNTRU+、SMAUG-T、AIMer、HAETAEの4種類、海外アルゴリズムはML-KEM、ML-DSA、SLH-DSAの3種類。

導入先機関のシステム環境に合わせて暗号モジュールを開発し、通信区間の暗号化、DB暗号化、電子署名などに適用した。導入システムについては、既存システムとの互換性に加え、鍵交換時間や署名検証時間などの性能も検証した。

その結果、16種類の暗号モジュールを開発し、耐量子暗号への移行事例を19件確保した。韓国科学技術情報通信部は、耐量子暗号への移行に向けた技術的な実現可能性を確認できたとしている。

耐量子暗号は、従来の公開鍵暗号に比べて暗号鍵や署名サイズが大きく、低スペック機器への適用が難しいことが課題とされてきた。今回の事業では、軽量環境でも安定して動作する最適化アルゴリズムを開発し、この課題に対応したという。

また、企業が利用する商用クラウド基盤システムで生じる、セキュア通信プロトコル変更に伴う制約にも対応した。各社が独自開発した耐量子暗号システムに置き換えることで解消したとしている。

事業実施機関は、業種ごとの本番移行プロセスで想定される課題を洗い出し、その解決に向けたノウハウも蓄積した。

韓国科学技術情報通信部は来年、通信、国防、金融など中核分野へ支援対象を広げる方針だ。耐量子暗号分野の専門人材と関連企業の育成も進める。

チェ・ミンヒ国会科学技術情報放送通信委員会委員長はビデオメッセージで、「耐量子暗号の試験転換事業は、産業全般の暗号体系の移行を前倒しし、不要な試行錯誤を減らす羅針盤になる」と述べた。その上で、「国会の科学技術情報放送通信委員会としても、関連制度の整備を含め立法面から後押しする」と語った。

チェ・ウヒョク韓国科学技術情報通信部ネットワーク政策室長は、「今回の事業は、量子コンピューティング時代に高度化するハッキングの脅威に対応し、より安全なセキュリティ体制へ発展させる基盤を整えた点で意義が大きい」とコメントした。

さらに、「民間でも耐量子暗号の必要性と緊急性を共有し、技術転換と普及に積極的に参加してほしい」と呼びかけた。

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