LGグループは定期役員人事で、LG U+のホン・ボムシク氏、LG HelloVisionのソン・グヨン氏の続投を決めた。LG U+はAI事業とデータセンター事業の収益化を本格化させる一方、セキュリティ対応の強化が課題となる。LG HelloVisionは低迷が続くケーブルTV事業の立て直しと、新規収益源の育成を急ぐ。
LG U+は副社長3人、専務1人の昇進に加え、常務7人を新たに登用するなど一部組織を見直したが、代表交代は見送った。LG HelloVisionは今回、別途の役員人事を発表していない。
韓国の通信大手3社のうち、現代表体制を維持したのはLG U+のみ。2024年11月に就任したホン氏については、この1年、安定的に経営を主導したとの評価が出ている。
LG U+の2025年上半期の営業利益は、前年同期比17.9%増の5599億ウォンだった。第3四半期には、モバイル回線契約数が3000万を超え、ギガインターネットの構成比も5ポイント上昇するなど、主力事業で成果を上げた。
2026年は、ホン氏の下でAI事業の収益化を加速する見通しだ。これまでにAI通話エージェント「ixi-O」を2.0に更新したほか、Googleと連携した「ixi-O AIアシスタント」も公開した。
「ixi-O」の利用者は現在100万人規模で、2026年に300万人超へ拡大することを目標に掲げる。ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)として海外通信事業者に提供する案も進めており、中長期的には顧客基盤を生かした有料モデルの導入も検討する。
データセンター事業も新たな成長の柱に据える。第3四半期のAIDC売上高は、平村第2センターの稼働率上昇とDBO(設計・構築・運用)事業の拡大を背景に、前年同期比14.5%増となった。2027年には坡州AIデータセンターが稼働する予定で、液冷など最新の運用技術を幅広く採用する計画だ。
ホン氏が掲げるブランド哲学「Simply U+」の展開も本格化する。顧客の不便を最小限に抑え、信頼に基づくサービス体験を提供する戦略で、この一環としてAIベースの顧客向け言い換えシステムの高度化も進める。関係者は「AIを活用し、顧客が理解しやすい言葉で伝えられる領域を広げていく」としている。
一方、セキュリティリスクへの対応は避けて通れない。米セキュリティ専門誌「Phrack」は、ハッカー集団がLG U+のセキュリティ協力会社SecureKeyを侵害し、取得したアカウント情報を使ってLG U+の内部ネットワークに侵入したと報じた。
LG U+は当初、情報流出の兆候は確認されていないとして当局への届け出を見送っていたが、国政監査で厳しく追及された後、韓国インターネット振興院(KISA)に申告した。
SK TelecomのUSIMハッキング事故や、KTの無断少額決済問題に比べれば影響は限定的とみられる。ただ、情報流出を巡る疑念だけでも顧客の不安につながりかねず、ホン氏には関連リスクの沈静化とセキュリティ投資の拡充が求められる。
LG HelloVisionでは、2020年から経営を担ってきたソン氏が続投する。最大の課題は、低迷が続くケーブルTV市場で事業立て直しの足場を築けるかどうかだ。
科学技術情報通信部の「2024年下期有料放送加入者統計」によると、LG HelloVisionのSO加入者は351万840人で、14のSO事業者の中で首位を維持した。ただ、前年下期からは5万6319人減っており、減少基調に歯止めをかける必要がある。格安SIM(MVNO)事業も、卸料金を巡る個別交渉や低価格競争の激化で、厳しい市場環境が続いている。
もっとも、第3四半期の業績には明るい材料もある。営業利益は前年同期比172.8%増の57億ウォンとなり、収益性改善の流れを示した。関係者は「放送・通信事業全般が低調な中でも、コスト効率化を徹底し、収益性を確保した」と説明している。
新たな成長エンジンとして期待されるのがレンタル事業だ。エアコンや除湿機、空気清浄機など生活家電のレンタルを通じ、放送事業と格安SIMに続く収益源の確立を狙う。ただ、レンタル事業は季節変動の影響を受けやすく、持続的な収益モデルとして定着させられるかがソン氏の課題となる。