NVIDIAが主導してきたAIチップ市場で、GoogleやAmazonなどクラウド大手の攻勢が強まっている。競争の舞台は推論向けにとどまらず、これまでNVIDIAのGPU依存が強かったAIモデルの学習分野にも広がってきた。
OpenAI、Anthropic、Metaなどでは、主力モデルの学習にGoogleやAmazonのチップを活用する動きが広がっている。
Metaはこのほど、Googleが開発したAI半導体「TPU」の利用を巡り、複数年契約を結んだ。契約額は数十億ドル規模とされる。MetaはTPUを新たなAIモデルの学習に活用する計画で、来年以降には自社データセンターへTPUを直接導入する案もGoogleと協議しているという。
Amazonも、自社AIチップのエコシステム拡大に向けた動きを加速している。AmazonはOpenAIとの戦略的協力を強化しており、自社AIチップの活用もその柱に位置付けられている。
この協力により、OpenAIはAmazon Web Services(AWS)のインフラを活用し、AIチップ「Trainium」を採用して企業向けの新たなプラットフォーム「Frontier」を構築する計画だ。
一方、中国のAIスタートアップDeepSeekは、3月上旬に最新の大規模言語モデルを公開する予定だ。HuaweiとCambriconのAIチップを使って開発したと伝えられている。
こうした動きは、NVIDIAの株価の重荷にもなっているとみられる。NVIDIAも対抗策を急いでおり、3月にはAIモデルがユーザーの問いに応答する際の推論処理に特化した新型チップを披露する予定だ。NVIDIAはこれまで、自社GPUが学習と推論の双方で主導的な地位にあることを強調してきた。
推論専用チップの投入は、コスト効率を重視する推論需要の拡大を見据えたものと受け止められている。
スペイン・バルセロナで開かれるモバイル・ワールド・コングレス(MWC)でも、AIが主要テーマとなっている。通信事業者が主役のイベントだが、AIを軸に据えた戦略や製品の発表が相次いでいる。
NVIDIAはMWC開幕に先立ち、世界の通信業界と連携し、AIネイティブなプラットフォームを基盤に6Gを構築するビジョンを公表した。AI-RAN技術を通じて、世界の通信網をAIインフラへ転換することを目指すとしている。
このほか、AIを巡る企業動向も広がっている。OpenAIのChatGPTは週間利用者が9億人を突破し、10億人に迫った。Anthropicのチャットボット「Claude」も、有料購読者数が昨年10月比で2倍超に増えたという。
GoogleはAI画像生成モデル「Nano Banana 2」(Gemini 3.1 Flash Image)を公開した。512pxから最大4K解像度まで多様な比率の画像生成に対応し、最大5人のキャラクターと14個のオブジェクトを表現できるとしている。複雑な指示にも対応し、より自然な照明やテクスチャ、細部表現を実現すると説明した。
企業がAI導入で期待した効果を十分に得られていないとの指摘が出るなか、AI企業はコンサルティング会社との協業を通じて普及を進める戦略を打ち出している。フランスのAI開発企業Mistral AIも、Accentureと複数年契約を結んだ。
Anthropicを巡っては、米政府との関係悪化が伝えられている。Anthropicが米軍に対する自社AIの利用を制限したことを受け、ドナルド・トランプ大統領は連邦機関にAnthropic製品の使用中止を指示し、ピート・ヘグセス国防長官はAnthropicをサプライチェーン上の脅威に指定したとされる。
その一方で、Anthropicの「Claude」はAppleのApp Store人気ランキングで首位に浮上した。競合するOpenAIのサム・アルトマンCEOは、DoWと自社AIモデルを軍事ネットワークに導入する契約を結んだと明らかにしている。
製品・サービス面でも動きが続く。Microsoftは、AI機能を大幅に強化したMicrosoft 365「E7」バンドルの投入を検討していると報じられた。ServiceNowは、役割や権限、ガバナンスを備え、自律的に業務を担うAI人材「Autonomous Workforce」を投入した。FigmaはOpenAIのAIコーディングツール「Codex」を統合し、デザイナーと開発者の協業を強化する。
メディア業界でも変化がみられる。VogueやThe New Yorkerを発行するCondé Nastは、Google検索を主要な流入経路に据えない戦略を準備している。ロジャー・リンチCEOは「数年以内に、Google検索は当社トラフィックで意味のある役割を果たせなくなる」と述べた。
AI音楽生成スタートアップのSunoは、有料加入者200万人、年間経常収益(ARR)3億ドルを達成した。
Samsung Electronicsは1日、2030年までに生産工場を「AI Driven Factory」へ転換すると発表した。資材の入庫から生産、出荷まで全工程にデジタルツインベースのシミュレーションを導入し、品質、生産、物流の各AIエージェントを通じて分析と事前検証を強化する方針だ。Red Hatは、ハイブリッドクラウド全体でAIモデルやエージェント、アプリケーションの配備と管理を可能にする統合AIプラットフォーム「Red Hat AI Enterprise」を発売した。
フィジカルAI企業のRLWRLDは、戦略的パートナーとの協業需要の拡大に対応するため、Seed 2投資を誘致した。AI決済ブロックチェーン企業のKite AIは、Googleのエージェント決済プロトコル「AP2」のコミュニティパートナーに正式参画した。Wert Intelligenceは、特許・科学技術データに基づくAI技術・リサーチプラットフォーム「keywert Insight」を発売した。