KTは3月2日、スペイン・バルセロナで開幕したMWC26で、公共機関・法人向けAI事業の導入事例を公開した。最高裁の裁判支援AIプラットフォームと、教育現場向け学習基盤「ハイラーニング」を通じ、韓国でのAIトランスフォーメーション(AX)の実装力をアピールする。
KTは2025年、最高裁の「裁判業務支援AIプラットフォーム構築事業」を受注した。教育分野では2023年から、京畿道教育庁とAIベースの教授・学習プラットフォーム「ハイラーニング」の開発・運用を進めている。
MWC26では、両事業の活用事例と技術構成を中心に紹介する。裁判業務支援AIプラットフォームは、判例検索や争点分析、文書作成といった裁判実務の中核工程にAIを導入し、業務効率化につなげるものだ。
同事業は全45カ月・4段階で進められる。現在は第1段階に当たる「法律情報インテリジェント検索」が試験運用段階に入っている。
プラットフォームには、意味検索に基づくリサーチ、要旨・争点分析、新規受理事件の検討支援、判決書や検討報告書の作成支援、個人情報の抽出と匿名化などの機能を実装した。このうちMWC26会場では、「法律情報インテリジェント検索サービス」を重点的に披露する。
同サービスは、ベクターデータベースと検索拡張生成(RAG)を組み合わせることで、法律相談の文脈理解や類似判例検索、文書に基づく高精度な質疑応答を実現した。大規模言語モデル(LLM)には「ミドゥムK 2.0」と「Llama K」を活用している。
KTは、200億件の法律関連データを事前学習に用いてモデルの品質を高めた。さらに、判決文や訴状、準備書面など約25TB、838万件超の法律文書を基盤とするデータベースを構築した。
教育分野では、公教育の現場で教員のデジタル授業設計・運営と、生徒の自律学習を支援する「ハイラーニング」を紹介する。主な機能である「AI診断推薦」では、生徒が自ら学習レベルを診断し、学習目標を設定できるよう支援する。
AIは診断結果に基づき、一人ひとりに最適化した学習を提案する。学習データはすべてLRS(Learning Record Store)に保存し、国際標準仕様のxAPI(Experience API)を基盤に分析することで、個別最適化したフィードバックにつなげる。
教員はAIレポートを通じて生徒の学習状況や到達度を把握し、個別最適化した問題設計に役立てられる。加えて、シングルサインオン(SSO)やOAuth(Open Authorization)の標準連携、教育部の「デジタルワンパス」などを適用し、安全な環境で統合IDによる利用を可能にした。
KTエンタープライズ部門公共事業本部長(専務)のユ・ヨンギュ氏は、「ミドゥムK 2.0など多様なAIを活用し、公共機関の需要に合わせたサービスを拡大していく」と述べたうえで、「公共分野で信頼されるAXパートナーを目指す」と強調した。